「綺麗なチャーリー・カウフマン?」ALOYS アロイス 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗なチャーリー・カウフマン?
見た感じチャーリー・カウフマンかミシェル・ゴンドリーの映画だと思ったら全然違った。日本が発祥だという「テレフォンウォーキング」なる精神療法を試すうちに徐々に現実と空想の境目を見失っていく男の物語。全体的にウェットな映像が視覚に心地よい。思えば道具立ても展開もチャーリー・カウフマンほどお下劣じゃなかったし。
ただまあこういう現実と空想がない混ぜに〜的な映画は映画史的にもそろそろ食傷気味というか、『未来世紀ブラジル』とか『恋愛睡眠のすすめ』とか『脳内ニューヨーク』とか『パンズ・ラビリンス』とか『裸のランチ』とか『バートン・フィンク』とかいくらでも印象的な先行作品が存在するので、それらと比較するとやや地味に思える。
いっそこういう系統の作品群が「ゾンビ」とか「サメ」くらいのジャンル性を帯びてくれれば、作家たちがジャンル的お約束からの差異を意識するようになってもっと面白い作品が出てくるんじゃないかと思う。けどまあそれらを一括するようなちょうどいい名詞が「精神倒錯」とか「統合失調症」みたいな絶対アウトなものしか見当たらないから歯痒い。
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