「青春の感情がいっぱい」劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ おばけやさんの映画レビュー(感想・評価)
青春の感情がいっぱい
本作も、とても「ユーフォ」していた。
吹奏楽部を通じて、思春期に味わう様々な感情を丁寧に、鮮やかに描き切っていた。恋愛、好きな友達と苦手な友達、ちょっと特別な友人関係、自信をもって人生を語る親友と、先の見えない自分の将来。
そういう、不安定で、揺れ動く個々の感情がいっぱいに、そして魅力的なキャラクターを通じて丁寧に描かれるのが、今作の魅力だと思う。
ここまで、いろんな感情を実写で盛り込むと、どこか胡散臭いというか、気色が悪いと思うんだけど。
アニメ映画だからこそ、いろんなトラブルや心理描写が、そこまでストレスなく入ってくるんだよね。
全体を通じて、やや、駆け足な感は否めない。ただ、それにも余るほど、一人一人のエネルギー、思いっきり青春時代を生きていくことへの趣が伝わってきた。
特に、好きなのは、久美子と奏がやり取りのシーン。
雨の中、逃げ出してしまう奏を、久美子が走りながら、追いかける。
ある種、すっごくベタな絵面なんだけど、京アニのきれいな風景と、黒沢ともよのリアルな温度感のある叫び方が、なんだか心に刺さるんだよなぁ。
部活を一生懸命やったって、何になるのか。
何かに取り組んだことがある人なら、必ずや思ったことのある疑問だろう。
それに対する、久美子の答えはとてもシンプル。
「もっとユーフォがうまくなりたいから」
この、本能的で、純粋な欲求が強いんだよなぁ。。。
日々への意味や意義、原動力を失っている営業マンには刺さる言葉である。
今、やってることの先に何があるかなんて、分からないけれど。
自分が実践できる精一杯の「正しさ」と「もっとうまくなりたい、上に行きたい」という感情を大切に、生きていきたいと思う。
ああー、京アニさん、三作目もお願いします~~。