「青春の感情がいっぱい」劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ おばけやさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0青春の感情がいっぱい

2019年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

本作も、とても「ユーフォ」していた。

吹奏楽部を通じて、思春期に味わう様々な感情を丁寧に、鮮やかに描き切っていた。恋愛、好きな友達と苦手な友達、ちょっと特別な友人関係、自信をもって人生を語る親友と、先の見えない自分の将来。

そういう、不安定で、揺れ動く個々の感情がいっぱいに、そして魅力的なキャラクターを通じて丁寧に描かれるのが、今作の魅力だと思う。

ここまで、いろんな感情を実写で盛り込むと、どこか胡散臭いというか、気色が悪いと思うんだけど。

アニメ映画だからこそ、いろんなトラブルや心理描写が、そこまでストレスなく入ってくるんだよね。

全体を通じて、やや、駆け足な感は否めない。ただ、それにも余るほど、一人一人のエネルギー、思いっきり青春時代を生きていくことへの趣が伝わってきた。

特に、好きなのは、久美子と奏がやり取りのシーン。

雨の中、逃げ出してしまう奏を、久美子が走りながら、追いかける。
ある種、すっごくベタな絵面なんだけど、京アニのきれいな風景と、黒沢ともよのリアルな温度感のある叫び方が、なんだか心に刺さるんだよなぁ。

部活を一生懸命やったって、何になるのか。

何かに取り組んだことがある人なら、必ずや思ったことのある疑問だろう。

それに対する、久美子の答えはとてもシンプル。

「もっとユーフォがうまくなりたいから」

この、本能的で、純粋な欲求が強いんだよなぁ。。。

日々への意味や意義、原動力を失っている営業マンには刺さる言葉である。

今、やってることの先に何があるかなんて、分からないけれど。

自分が実践できる精一杯の「正しさ」と「もっとうまくなりたい、上に行きたい」という感情を大切に、生きていきたいと思う。

ああー、京アニさん、三作目もお願いします~~。

おばけや