「月が綺麗ですね」家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
月が綺麗ですね
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映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」
(李闘士男監督)から。
鑑賞後のメモを振り返ると、予想以上に多くのフレーズが
私の「気になる一言」として残された。
主人公の榮倉奈々さん扮する「加賀美ちえ」の実家が三島市。
「実家って近いんですか? 」「いや静岡だから近くも遠くも」
「微妙な距離っすよね」の表現が面白かった。
「静岡と東京で中距離恋愛だったんですよね」
「なんか中途半端な距離ですみません」という会話にも、
若かりし頃の自分が思い出されて、メモを増えた。
そんな中、やはり選んだのは、彼女が何度も口にした
やはり「月が綺麗ですね」という台詞。
きっと、何か意味があるんだろうな、とメモしておいたら、
その意味が明かされて嬉しくなった。
彼女の愛読書なのだろうか。書籍「日本文学便覧」(第一文学社刊)
そこには、多くの文豪が訳した外国語が記されている感じだった。
だから、彼女が何度も口にした「月が綺麗ですね」は、
文豪・夏目漱石が「I love you」を、日本語に訳したフレーズだった。
疲れて帰ってくる夫を元気づけようと、何度も死んだフリをした妻は、
いろいろな場面で「月が綺麗ですね」と言いながら
「私はあなたのことを愛しています」と想い続けた。
「I love you」は照れ臭くて言えなくても「月が綺麗ですね」は言える。
そんなことに気付かせてもらった作品である。
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