少女ファニーと運命の旅のレビュー・感想・評価
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子役の演技は素晴らしい。演出と脚本が無能
映画なのに。
ほとんど演出らしい演出のないまま、子供たちの旅はたんたんと進んでいきます。かなりがっかりしました。
どうして映画にしたんでしょう。
余計な演出を加えることが、歴史への冒涜になると考えたのでしょうか。
観客は、何を期待して映画館に運ぶのか、考えたことがあるのでしょうか。
例えば、今にも落ちそうなつり橋があるけど、そこを渡らなければ先に進めない。ドイツ兵がすぐそこまで来ていて、捕まったら終わりだ。というような演出は、素人の私でも考えますよ。いくらでも話を盛り上げられたでしょうに。
以下はネタバレになりますので、注意してください。
.子供たちは空腹のあまり、森で赤い果実を食べてしまい、食あたりを起こす。かなり弱い演出で、いきなり何人かの子が「ゲー」とやりだすので、ファニーが「何を食べたの?」「赤い木の実…」「私、助けを呼んでくる」
その前に、映画なら空腹のあまり、変なものを拾って食べる子供たちの描写のひとつもあるでしょうに。確かに、トウモロコシ畑で、まだ熟していないトウモロコシを食べようとして「かたい…」「変な味がする…」と言って、ほとんど口にしないまま捨てる描写はあったけど……
大人を呼びに行くのなら、初めからそうすればいいのに、どうしてそうなるのでしょう。で、ひとりの子供が持っていた札束で、大人の人を呼んできて、荷車に乗せてもらう。幌の中から、ドイツ戦車とドイツ兵が…
どうして、その子はお金を持っていたのか、特に説明はありません。ただ、途中で札束が風に飛ばされ、子供たちが無心にお札を拾って集める幻想的なシーンがあるだけです。すぐにドイツ兵が追ってきて、子供たちは木に登って隠れますが、その時に、またお札が風に飛ばされ、見つかりそうになりますが、ドイツ兵は「誰かが落としたんだろう」くらいに立ち去ってしまいます。
ここでも、子供たちが命からがら、必死に木に登るような描写は無く、ドイツ兵が来た時にはもう木に登っています。
映画の冒頭で、木に登って母親の手紙を読むファニーのシーンはあるにはありますが、他の小さい子たちはどうやって木に登ったのでしょうか。
・並んで歩きながら、歌を歌って気持ちを盛り上げていた子供たち。「シーッ静かに!」すると近くに川の流れる音。子供たちは、とてものどが渇いていたので、夢中で水を飲み、やがて水遊びを始めます。ほのぼのとした、印象的なシーンですが、その前に、のどが渇いて苦しそうな子供の描写は一切ありません。水場にたどり着いて、一安心みたいなヤマ場にならないのです。その前の追い詰められる描写がないから。
・大人になったファニーのモノローグが入り、「あの時私は追い詰められていた。」とか「実はこの時、ドイツ兵がすぐそばまで迫っていた」みたいな解説があれば、子供たちが旅の途中、どんな状況か分かりやすかったでしょうが、一切そのような説明的なものがありません。ファニー・ベン=アミの自伝が2011年にフランス語に翻訳されたのを機に、映画化されたようです。自伝の映画化であれば、通常この手法がとられますが、監督はこのような演出が嫌いだったのでしょうか。ちなみに、監督はジャック・ドワイヨンの娘で、ローラ・ドワイヨンが努めました。おそらく彼女に次のチャンスは無いでしょう。気の毒ですが。親の七光りは一回こっきりにしてほしいものです。
・それらしい演出と言えば、エリーから託された大切な手紙には何も書いて無く白紙。ドイツ兵の銃弾から逃げ出すときにその手紙が風に飛ばされ、ファニーについてくる。「ドイツ兵に撃たれたらジグザグに逃げろ。弾が当たりにくい」という、キッチンで交わされた前半の何気ない会話がきっと伏線なのでしょう。ファニーは何となくジグザグに走っているように見えます。見ようによっては手紙に導かれているようにも見えなくもない、でも、走れない子供を背負っているので、正直「あれジグザグか?」程度にしか見えません。
ほんの映画の一場面ですが、全編にわたって、この調子なので、盛り上げる展開でも、何も盛り上がりません。いい大人が、お金集めて、時間遣って、子供たちを何千人オーディションして、映画撮ってんだから、脚本が弱すぎるくらいのことは気づくでしょう。
あえて、この演出で行く。という決断があったとしか思えません。
私が映画に期待したのは、下世話な言い方ですが、「はじめてのおつかい、第二次世界大戦編」でした。そんな期待、抱くことが不謹慎なんでしょうかね。
この映画で良かったのは、子供たちが口ずさむ、印象的な歌と、主役の女の子の見せる、リーダー役に選ばれた苦悩の演技。子供たちの振る舞いはとても自然で、なんとかしてスイス国境にたどり着いて欲しいと、思わずにはいられません。
それ以外、見るべきもののない残念な映画です。
タイトルなし(ネタバレ)
「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」を見た人は、この映画を見るべし。
あるユダヤ系の方のお話。「サラの鍵」からの引用だと思う。
「もう、ヨーロッパには戻りたくない」そんなユダヤ系の方もいるって事。
西ドイツで孤独な死を迎えた老人(ステラ)は、本当にユダヤ系ドイツ人だったのだろうか?
兎に角、必死に逃げる。
「脱走山脈」「サウンドオブミュージック」を見よう。
彼女達に危害を加える警官は、明らかなフランス人。ビシー政権の手先として描かれているが、戦後彼らは3,000人近くB級戦犯で死刑判決を受けている。もっとも、多くが減刑になっているので、その後の事はわかってないが。だからではないが、今でも反ユダヤ主義者は根強く蔓延っている。
カンボジアのクメールルージュは、幹部であっても死刑判決すら受けずに拘留された。そして、減刑でクメールルージュの多くの面々が世に出ている。
カンボジアの考え方としては、そう言った戦争犯罪者をこの世から抹殺すると、次にそう言う時代になった時、どう対処したら良いか分からないと言う理由らしい。
つまり、「僕は君たちをゆるす事にした」って事だ。
まぁ、大乗仏教の国である事なんだね。
子役みんなが可愛いい…
ユダヤ人の13歳の少女ファニーがリーダーとなり、幼い子ども達を連れ、ナチス占領下のフランスからスイスへの国境超えを目指す実話ベースのストーリー。タイトルからは想像できない、死と隣り合わせの逃避行だが、子役みんなの可愛らしさ、無邪気な様で、それを一瞬忘れてしまう。実際もファニー自身がまだ子どもで不安で堪らなかっただろうが、頼ってくる子どもたちを鼓舞し、飢えをしのぎ、機転を利かせ、諦めさせず、導いたのだろう。手紙が舞い、ジグザグに走り、銃撃を避けるラストシーンは創作だろうが、良かった。エンドロールで本人が出るが戦後、フランスに戻るものの両親に会えなかったという事実が何ともやるせない。
ファニー頑張れ‼︎
130本目‼︎
ファニー
たくましい‼︎
ちびっ子の台詞で
ユダヤ人が悪いんなら
やめちゃえばいいのに...
だったかな?って
このシーン
なんか辛かった
ホントやめれるなら
逃げなくて済むのにね
身を引き締める思いがした
ホロコーストものだと知らないでみました。
映画の途中で気が付きましたがホロコーストものは何度も見ていたので知っていれば見なかったかもしれません。
でも結論としては見てよかったです。
ありきたりのストーリーで映像表現が違う=作品が違う、あらすじはどの映画も似たり寄ったり。
それでもこの手の映画は忘れないように頭に刻み込むように見たほうがいい、そう感じました。
それは映画のテーマを忘れないことだけではなく、緩みかけた日常の自分の生活を振り返る刺激、きっかけになり、幼い子どもが生死をかけて、振り絞って生きている、それが自分を見つけ直すことにつながると。
映画の中では子役の演技がとにかく素晴らしい
タイトルなし(ネタバレ)
国外逃亡の旅で、頑固だから最後までやりきるだろうとリーダーに選ばれたファニー。年齢でもリーダーシップでもない理由が良いですね。これと、コックに託された手紙が彼女が最後まで諦めずに旅を続けた理由のような気がします。孤児院のマダムや牧場のおじさん、貨物列車で見逃してくれた兵隊のような親切な人もいれば、密告する人もいる。ドイツ兵の尋問は苛烈で見ていてヒヤヒヤしました。飢えと疲れ、頼る大人もいない中、ファニー達が前へ前へ進む姿が力強くて勇気をもらった気がします。面白かった。託された手紙が白紙と知ってからのファニーの強さと凛々しさはとんでもなく、最後のスイスとの国境でドイツ兵に撃たれながらもジグザグに走るファニーに泣きました。
手紙
ユダヤ人の子供達が、ドイツ兵から逃れ、フランス、イタリア、そしてスイスへ亡命する命懸けの旅路を描いた作品。
頑固者ということで、リーダーに任命された13歳のFanny。自分のことだけでも精一杯であるはずの(あるべき)年頃で、困惑しながらもグループの命運をかけて勇敢に引率していきます。一番幼い子供達は、今の幼稚園児くらいでしょうか。しっかり年長者達の言う事を聞き、ドイツ兵の前では「きちんと」嘘が言え、自由と安全を求めて必死に走る姿には、幼いなりにどれだけ深刻な状況に追い込まれているかを理解している様子が伺え、あまりに不憫で涙が出ました。救いは、逃避行中であっても、何でも遊びに変えて楽しんでしまう子供らしい才能が垣間見れる時です。
頼れるお兄さんElieが何故急に逃げ出したのか…。自分が怪しまれたら、子供達全員を危険に晒すと思ってのことでしょうか。最後まで見てはいけないと言ってFannyに託した手紙。無言の「手紙」は、万一ドイツ兵に見つかっても問題にならず、かつ中身を知らなければFannyの使命感を保つ力を発揮します。何が何でも逃げ切るんだよ、というElieの深い愛情が、風に煽られジグザグにFannyを導く、真っ白な手紙に溢れていました。
密告者は神父や赤子の母親。一方子供の頭を撃ち抜くほど残酷になれないドイツ兵や、命懸けでこっそり助ける民間人達。子供達の可愛さに負けてしまう大人も出てくるので多少救われます。
長い旅路の果てに
この話は実話だそうです。
エンドロールにご本人が映像で映されたとき、あの小さな女の子が激動の時代を生き抜いたのだと、胸が熱くなりました。
スクリーンの中のファニーは、確かにそこにいて、幸せそうに笑っていました。
生きるか死ぬかの瀬戸際で、13才の少女が、葛藤しながらも、仲間の命を知恵と勇気でつなぎ止めました。
苦しく長い旅路の果てには、スイス亡命という未来がありました。
命がけの運命の旅は、悲しく辛いことが多く、彼等自身の中にもユダヤ人に生まれたことへの疑問もあったと思います。
終戦の季節には、悲しい歴史を思い出すことで、今をいきる私たちができることが何か思い起こさせてくれる作品です。
子供たちの笑顔に救われる
元気で清らかな子供たちがとても可愛くて、ナチスの凄惨なユダヤ人迫害の現実から少しでも遠ざけたいと心から思った。
命懸けで緊張感溢れる道中だけど、ちょいちょい挟まれる子供らしく暖かい場面に少し安心する。
年長でリーダーになるファニーだけど、緊迫した中で焦ったりイラついたりと やっぱりまだ子供で感情的な部分もけっこう観られるのが共感できた。
山小屋の人に助けを求める場面のファニーの一声、「私はユダヤ人です」がすごくスリリングで心臓つぶれるかと思った…
最初のかくれんぼとドイツ兵から隠れたとき、どちらも木に登っていたけど対称的ななシーンだった。
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