「空白の30年と2つの世代の原罪」EUREKA 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション さにわさんの映画レビュー(感想・評価)
空白の30年と2つの世代の原罪
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「閉じ籠ってないで大人になれ」と説教したエヴァ
「イノセントな思いがあればなんだって出来る」と大人にならなくていい言い訳になってしまった初期エウレカ
そして現在、シンジ君が大人になるまで20年以上かかったように電車男以降オタクが許容されアニメコンテンツも永遠の停滞期を迎えている中で
「愛の歌も歌われ尽くした数多の映画で語られ尽くしたそんな荒野」を20年歩み続けてしまった意味では同年に放送されていたエウレカのテーマはこの時代の若者達の原罪だ。
この若者達が社会を担う頃となり最低賃金がほぼ変わらずアメリカと倍近く離れてしまった今の社会は根性論でどうにかなるという幻想にしがみ続けてそれを守ろうと証明出来ない証明を続けるデューイのような前の世代の原罪と重なることでどうにもならない状態に陥っている。
ある意味デューイは自決出来なかった三島由紀夫の成れの果てとも闘う理由がなくなった柘植行人のシンパとも言える。
今回の映画はそうした原罪となった理想の原石である監督が好きだったであろうカッコイイもの達を無意味なものと否定し、若者達に提示してしまったエウレカセブンすらも否定することでターミネーターシリーズと同じジレンマを抱えてしまったエウレカシリーズを過去の贖罪によって野暮ったくても大人になることの意味を提示した作品ではないだろうか。
そして体は大人、心は子供な歪で偏屈な存在に成り果てた我々に捻られて言い訳化してしまった初期のテーマをイノセントなものに浄化し取り戻す作品になった。
「あなたたちは、私たち若者に希望を求めてやってくる。あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢と子ども時代を奪い去った。」
グレタ・トゥーンベリ
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