劇場公開日 2024年6月28日

「革命を起こせなければ暴動である。悶々としたひと夏の怒りの先の景色と道程」そうして私たちはプールに金魚を、 かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0革命を起こせなければ暴動である。悶々としたひと夏の怒りの先の景色と道程

2021年1月29日
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鑑賞方法:VOD

興奮

知的

革命を起こせなければ、それはただの暴動である。と、高校の先生が言っていた。そんなことをふと思い出した。
「狭い山」で狭山という、閉鎖的でつまらない田舎に住む女子中学生4人組。狭山に漂う多少の田舎臭さは、埼玉県人の私からすれば知っているものの、まあ、そんなに悪いところではないなんて思って観ていた。内容としては、クリエイターという方がしっくり来るような監督が作ったんだな、って感じ。内容より瞬間の画が強く映る。実際、電通マンの監督が作ったらしいので、そこは強めに反映されているのだろう。劇伴で畳み掛け、画にはファンタジーとカオスが共存しつつ、ブレないテーマで進行する。金魚をプールに入れるまでの過程をセンセーショナルに炙りつつ、悶々としたひと夏のフラストレーションが事件への動機へ働いていく。ただ、芸術的な映画になっているものの、私からすると、"暴動"止まりに映った。映像から溢れる才能に、ストーリーは付いてきていない気がして、革命は起きなかった。
緻密な計算から生み出されるダイナミックな造形を模した映画。革命は作中でも作品でも起こせなかったが、まだ観たことない『ウィーアーリトルゾンビーズ』なら革命を感じられるかも。『MANRIKI』的映画芸術は、まだ経験値が足りないためか、消化できるようになったら見方が変わりそう。

たいよーさん。