「何処かで観た光景」ディープ・インフェルノ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
何処かで観た光景
特別大きな捻りの無い作品だが、密林で怪物の餌食になる若者の可哀想な姿が描かれる王道のモンスター・パニック・ホラーだ。
90分弱の本編でサクッと観れるが、アルバトロス製作のトンデモ作品よりは大真面目なホラーとなっている。ペルーの密林が舞台で、地元民に散々止められたのに禁断の領域へ足を踏み入れるというバカな若者の姿は「いつもの」それだが、意外にもドラマパートの軸がしっかりとしており、登場人物が良く印象に残っている。
主人公は大学卒業後の進路、つまり就職先が決まっていないものの、アプリの開発者であり、これが時代の流動とは無縁と思えたジャングルで関わってくる展開は中々面白い。
この手の作品だと鑑賞者はどんな怪物が出てくるのかと楽しみに待っていると思うのだが、割りと冒頭で「チュパカブラが〜」なんて話が出てきて少々興ざめしてしまった。ある程度それでビジュアルの想像がついてしまうので、こういうのは言わないほうが良いのではと思う。せっかく未来の獣医たるやヒロインが居るのだから、それを大いに活用して「チュパカブラだ!」の方が自然な流れではないか。何ならそれを利用して退治方法なんかも分かってしまったらなおのこと盛り上がっただろうに、ワンパターンに飛び出してきて殺られての繰り返しでは飽きる。
また、製作者は恐らく「ディセント」(‘05)のファンか、オマージュしたのだろうと思われるシーンがかなりある。肝心のチュパカブラはもろ地底人そのものであり、鳴き声等もかなり意識している様に思える。本作を観て再度「ディセント」の怖さが相当なものだったと思い知らされる。
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