劇場公開日 2017年4月29日

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「「いくよ、アカコ!」「合点、ヒトミ!」」笑う招き猫 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「いくよ、アカコ!」「合点、ヒトミ!」

2018年1月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

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正月休みに見ようとして一旦手に取ったものの、結局他の作品をレンタルした事が今となっては後悔。
正月に見てたら、“アカコとヒトミ”が笑いと爽やかな感動と福を運んで来てくれたに違いない。

売れない女漫才コンビ“アカコとヒトミ”。
ツッコミのヒトミ=清水富美加、ボケのアカコ=松井玲奈。
二人の掛け合いを見てるだけでも心地よい。

性格は真逆。
ヒトミは真面目でドライ。服装も地味。
アカコは常にハイテンションで喧嘩っ早い。服装もハデハデ個性的。
で、この二人、よう喧嘩する。
練習中や本番の舞台終了後で上手くいかないと、「解散する!」「もう辞めた!」。
勿論本気で言ってる訳ではなく(ちょっとは本気かもしれないけど)、仲がいいから喧嘩する。
それも二人にとっては漫才なのかもしれない。
コンビ愛は強い。
ヒトミが先輩芸人からセクハラされた時、アカコはブチギレ! その後マネージャーに注意されてもブチギレ!
元々OLだったヒトミ。そんなヒトミをお笑いの世界に誘う為、ヒトミの両親にまるで結婚を申し込むように説得するアカコにジ~ンと。
ある事情でマジで大喧嘩して、今度こそ本気で解散を決意。
…でも、
やっぱりヒトミと漫才がしたい。
やっぱりアカコと漫才がしたい。
女の子二人の友情物語としてもそつなく。
清水富美加と松井玲奈の演技も良かったと思う。
清水富美加はさすがに巧く、『東京喰種』のレビューでも書いたが、本当に惜しい!
松井玲奈は新たな一面を見せた。
猛練習したであろう漫才もなかなか好テンポ。
雨の中、どつき合いながら大喧嘩するシーンは真に迫るものがあった。
二人が舞台に立つ直前、掛け合う決め言葉が好き。
「いくよ、アカコ!」
「合点、ヒトミ!」

売れない二人にブレイクの兆し。が、いい事もあれば悪い事もやって来る。
挫折やコンビ愛など、お笑い芸人を題材にした作品の王道展開もあるが、彼女たちを取り巻く群像劇でもある。
ちょっと蛇足に感じるエピソードもあるが(イジメられっ子の中学生とかヒトミのバイト先の店長が刺された事件とか)、二人の大学時代の旧友のエピソードは悪くない。
今は映画の録音助手をしてる者。
年下上司に馬鹿にされながらサラリーマンになった者。
あの時は夢もあったが、今は辛くても地に足を着けて堅実に生きている。
彼らからすれば、未だに売れてないが、ずっと頑張り続けてる二人の姿はどう映っただろう。
端から見れば、滑稽。
でも、そんな二人が誇らしいほど輝かしい。

芸人の道は厳しい。ましてや売れてない。
喧嘩し、挫折しながらも、二人は漫才を続ける。
支えてくれる周りの人々。
ほんわかなヒトミの両親。
「負けんなよ!」と厳しくも優しいマネージャー。(東京03の角田が好演)

売れてないから面白くない訳じゃない。
光るものもある。
舞台で失態をした先輩芸人の窮地を救ったナイス・ピンチヒッター。
そして、意気揚々としたクライマックスの漫才。

周りの人々の悲喜こもごも。
自分たちの悲喜こもごも、夢、コンビ愛。
それらを込めて、二人は今日も舞台に立つ。

「いくよ、アカコ!」
「合点、ヒトミ!」

近大