AMY SAID エイミーセッドのレビュー・感想・評価
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ひとりよがりな中年たちの映画
中年たちが青春を振り返る会話劇とのことで期待したのですが、個人的にはフィットしない作品でした。
主要キャラが自己愛的なので観ているうちにウンザリ。
サークルのマドンナであるエミを偲ぶうちに、それぞれが抱えていた罪悪感とかのモヤモヤを語るんですが、自分語りばっかり。エミを殺したのは自分だ、と語ってばっかで、エミがどんな人だったのか、どんな苦しみや哀しみを抱えていたのか、誰も思いを馳せようとしないのが、合わなかった。
罪悪感を抱えて生きるのは辛いし、現実がうまく行ってないと仲間にすがりたくなるのも解る。しかし、お前らもっとエミの内面に関心持っとけよ!と言いたくなる。
クライマックスである朝田の自分語りでエミの自殺理由が語られるが、えっ?それマジで言ってるの?とびっくりしてしまうほど説得力が感じられない。朝田を演じる三浦誠己の演技が真に迫っているからこそ、逆に冷めてしまいました。
まぁ、本当の理由はきっと別にあるんでしょうけど。みんなエミに関心を持ってないからわかんないだけで。
そんな冴えない人たちが変化し成長していくのが映画の醍醐味。
しかし…物語が進んでも、ぜんぜん変化しない。川崎の熱っぽい独白も、うわっ、さむーって感じです。情熱こそが人生を豊かにするものだと思いますが、あのシーンでひとりよがりの熱さほど寒いものはないと実感しました。
結局、収以外の主要キャラはみな嫉妬とかコンプレックスに振り回されており、基本的に関心が自分にしか向いていない。現実の生活が満たされないのも宜なるかな。正直、ああはなりたくないです。
キャラクター・内容ともに個人的には最悪でしたが、映画としては充実しているな、という印象。会話劇でありながらテンションが落ちずに中だるみしないし、それはひとえに演者たちの実力の賜物だと思います。
大橋トリオの歌でクライマックスを盛り上げる演出も、ここぞ、というタイミングでやって来るためハッとしました。
(ストーリーが良ければここでキたと思います)
村上淳のチンピラ感も最高でした。手下ともどもロッキー好きって泣けます。
これでキャラと脚本にもっと魅力と厚みがあれば、としみじみ思いました。
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