「SF的ド直球」ロスト・エモーション いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
SF的ド直球
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【未体験ゾーンの映画たち】という日本未配給の映画を上映するというプログラムの中の一作。ジャンル映画の中でのSF映画としては本道であり、それゆえ概視感は否めず、アイランド (2005年)のそれに舞台が似ていて、ある部分日本人が好物なプロットだと思う。しかもラストシーンも、卒業(1967年)を彷彿とさせていて、これも又日本でもヒットした作品だから、食べ合わせは悪くないのかもしれない。といったらロケにおいては建築家の安藤忠雄氏の建造物が多く使用されていて、だから親近感が湧くのかも。未来の話なのにノスタルジーを感じさせる出来となっている。
自分個人としては、『感情』程やっかいなものはなく、却ってこの世界観の感情を排した人間になれればと願うのだが、社会に順応できずに苦しむ主人公やヒロイン、そして同志達を観ていると、自分とはやはりステージが違っていて感情移入は中々出来にくい。急に特効薬が完成するというご都合主義の展開も鼻につくが、まぁSFだしね。
ただ、久しぶりに音楽と映像の親和感は強く感じ取れた。音楽って大事だね。
ラスト前に主人公(マッドマックスでウォーボーイのニュークス役だったのをググって知った)がビルから飛び降りようするシーンはこの作品のキモで、夢で見たデ・ジャビュにまさに突き落とされる瞬間、しかし死を躊躇い、生きながらえながら死を選ぶ新薬の投与という道に進む件までのヒロインとの行き違いの展開は昼メロのようで上手い脚本であると。もう少し、濡れ場が激しかったら生への渇望という演出が観客に訴えると思うのだが、欲しがりか?w
テーマ的にも色々な映画のオマージュ的な要素もあり、興味ある一本である。
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