劇場公開日 2017年3月25日

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「歴史問題と労使問題の密室劇」サラエヴォの銃声 肉ネ~ムさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0歴史問題と労使問題の密室劇

2018年9月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

舞台はサラエヴォのとあるホテル。この館内と屋上?だけで物語は完結しており、なおかつ劇中の経過時間も視聴時間も概ね同じ、つまりせいぜい数時間のホテル内の出来事をえがくというユニークな構成。
館内を移動する人物をカメラも追いかけるため、実際にホテルにいるような臨場感がある。

同じホテル内とはいえ、館内と屋上では別の話が並行して進み、ラストで両者は皮肉な交差をみせてエンドとなる。

サラエヴォは第1次世界大戦の発火点でありユーゴ紛争の中心地である訳だが、正直なところ、歴史パートは一般の日本人には到底消化できないレベル。朝廷、幕府、薩長土肥プラス地名・人名がわからない外国人が、幕末維新モノを観るようなものなので、充分な理解は諦めたほうがいい。

細部がわからないからなのか、この作品のメッセージがどんなものかもよくわからなかったのだが、わからないなりになにか思うことはあるかもしれない。自分の場合はこうだ。世界中の民族間の因縁など他者から見れば掃いて捨てるほどあり、とるに足りないが、自分、自国となると、やはりそうはいかないということだ。全世界がそうなのだ。理解できないことを理解する知性が必要なのだろう。とはいえ、崇高な民族的アイデンティティにまつわる不満も考え様で賃金未払いの不満と大差ない、そう主張しているようにも思われた。

肉ネ~ム