「地味な海洋遭難パニック物でしたが、後日談を含めたその事実に何かと驚かされた映画でした」アバンダンド 太平洋ディザスター119日 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
地味な海洋遭難パニック物でしたが、後日談を含めたその事実に何かと驚かされた映画でした
タイトルだけ見るとかなり怪しい(ドB級の)臭いが漂ってくる映画でしたが、見てみたらまあそれなりには見れるレベルの海洋遭難パニック漂流物でしたかね。
タイトルに反して地味は地味な内容でしたが、実話を基にした映画だけに、無理に派手にする訳にもいかないでしょうから、まあ現実は実際こんなもんだと言う、妙にリアルな部分も含めて、地味ながらまずまず飽きずに見れた映画ではありました。
尺が90分弱と短いので、どこか物足りなさは感じたのですが、逆に言えばこの手の映画にありがちな無駄に間延びしそうなシーンはほとんどありませんでしたので、ドキドキ度は薄めでしたが、あまり退屈することなくテンポ良く見れた映画ではあったかと。
しかしこれが実話を基にした映画とは、まさしく事実は小説よりも奇なりですね、ほぼ4ヶ月も海洋で漂流していたなんて・・・。
最後の10分ぐらいで後日談が描かれていましたが、確かにそれは周りもそう言う反応になっても不思議ではないかも、しかも漂流していた場所が何やら・・・。
まあ私にはニュージーランドの土地勘が全く無いので、いまいちピンとは来なかったのですが、何にしても本編よりも、むしろその後日談の方が何気に印象に残った映画でしたね。
で、本編の漂流記の方はと言いますと、速攻で転覆してその後4ヶ月近く、水や食料が徐々に無くなっていく緊迫感のある状況に晒されながらも、意外とお気楽と言うか、何かといがみ合いながらも知恵を出し合いながら生きながらえていく姿がそれはそれで楽しそうに見えて、何か不思議な感覚に陥った海洋パニック物でしたね。
期待したものとは違ったのですが、実際転覆してこんな状況に陥ったら、こうするしかないんだろうなと思えるような、ある種ドキュメンタリー映画を見ているようで、これはこれで面白かったです。
ただ4人のうち、やたらヒステリックな輩が1人いたのは見ていてかなりイライラしましたが、後日談で語られた彼の顛末を見るとそれはそれで納得・・・そもそも、船長がアレですよねぇ・・・。
ところでこの映画は、ドミニク・パーセルが主役だったので見たのですが、実際主役だったかと言うとちょっと疑問、主役は船長だったような?ってまあナレーションが船長だったからそう感じたのかもしれませんが、乗組員4人のうちドミニク・パーセルが一番地味な存在と言うか見せ場が少なかったのは間違いないところでしょう。
でも、彼が演じた人物がコックさん(ただ料理が上手いだけ?)だったのが漂流を快適に過ごせた一因だった辺り、ちょっと面白かったです、あの状況でおいしそうなのを食べれるって奇跡でしょう(笑)
まあおじさん4人の漂流記で華は無かったですし、人物紹介も相当端折られていたので感情移入度も薄かったですが、こんなことが実際あったんだと言うその事実に、何かと驚かされた映画ではありました。