「人が人に囚われる。 こんな不条理があっていいのか。」囚われた少女たち humさんの映画レビュー(感想・評価)
人が人に囚われる。 こんな不条理があっていいのか。
純粋なソフィアとウリセスの眼差しが
どんどん曇っていく。
澱んでいく。
生きてその場を離れられたとしても
昔の心は殺されていた。
社会情勢、経済的背景は切り離せないが、人間はこうも鬼畜と化すのかと愕然とする。
荒んだ街並み、陰鬱な空気、暴力による支配のなかで、いとも簡単に誰かの自己利益のために未来を犠牲にされる若者たちの不運がいたたまれない。
ウリセスの父のミラー越しの眼差しが葛藤を押し殺し非情に強行する意思を固めていく様子が一度乗ったら降りられない悪の性質を物語る。
また、母が時折ウリセスを思いやる姿には微かな望みを感じたが、のりこえる壁は高く厚すぎることを思い知らせる。
彼女もきっと本心ではない人生を諦めながら生きているのだろう。
そして条件に従うマリウスもこの悪循環の一部だ。
美しい純真も愛情ももはや汚れてしまった。
マリウスの家に屈託ない笑顔で集う幼子たちもこうして数年後には一家の一員として悪人に変貌していくのだろう。
選択肢のない恐ろしく辛い継承がここにもあった。
許されることは何ひとつないこの酷い話が映像さながら進めば加害者、戻れば被害者という悪夢のような現実としてどこかに存在するのを感じてどんよりと気持ちが沈む。
大人がつくる社会で、何もできないこどもたちを犠牲にさせてはいけない。
打開策は一体どこにあるのだろうか。
レビューありがとうございました。見ていただいたのですね。
私の知らない世界があるのだと実感させられる映画でした。今でも「ほんとにこんなことがあるのか」と信じられない気持ちでいっぱいです。
でも、きっと、かなり事実に近い話なんでしょうね。
「打開策は一体どこにあるのだろうか」まさにその通りです。世界中が貧困を乗り越えた豊かな社会になるしかありません。人類史上そんな世の中はやってくるのでしょうか。
「屈託ない笑顔で集う幼子たち」の将来が明るい未来でありますように。