「『オーロラの彼方へ』に韓流サスペンス風味」リバイバル 妻は二度殺される 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
『オーロラの彼方へ』に韓流サスペンス風味
弁護士の夫、病院勤めの妻、自慢の娘。
画に描いたような幸せな家族と暮らしだったが、ある日妻が何者かに殺される。
妻は直前に電話を掛けていた。
あの時、電話に出ていれば…。
1年後、未だに心に傷を引き摺り、諦めきれない夫の電話に掛かってきたのは、1年前の妻からだった…!
機器を通じて現在と過去が繋がる…。
もう20年も前(!)の『オーロラの彼方へ』を彷彿させるが、あちらのような感動作じゃない。
最初は質の悪い悪戯と相手に憤怒すらする夫だったが、あの日あの時と全く同じ状況で、この信じ難い現実を受け入れる。2015年から電話で、妻の死を変えようとする。
一方の2014年の妻は夫のヘンな悪戯と思い、全く取り合わない。しかし帰途中、夫の言ってた交通事故や火事が当たり…。
家に帰り、間もなく殺害される時間。
夫は諦めず必死に妻に訴え続ける。
その時、インターホンが。玄関に、見知らぬ怪しげな男…。
間一髪、2015年の夫からの助けで難を逃れた妻。
妻は助かった。これで現在は変わる。
…筈なのに。
妻はやはり死んだ事に。しかも、違う殺され方。
真犯人は意外な人物。
その策略で、夫が妻殺しの濡れ衣を着せられてしまう…。
夫は真犯人を捕まえる事が出来るのか。
そして、妻を死の運命から救う事が出来るのか…?
一度は逃れても、再び死の運命が魔の手を伸ばすのは『ファイナル・デスティネーション』的。
幾ら抵抗しても歯車狂うのは『バタフライ・エフェクト』的。
…しかし、夫が濡れ衣を着せられる展開はちとあるある。
話が進むにつれ、登場人物が交錯し、少々こんがらがってくる。
真犯人もすぐ分かるし、この不可思議な現象は太陽フレアの影響によるもの…のように仄めかしているが、今一つ説得力に欠ける。
正しい(かどうか分からないけど)タイムパラドックス理論も、例え過去を変えても現在とは違うパラレル・ワールドになるのに、過去を変えれば現在も変わるという、『ドラえもん』や『BTTF』的。
ツッコミ所はあれど、ユニークな設定のSF要素を含み、アクションありスリリングあり泣かせ節ありの、さすが面白味のある韓国サスペンス。