「「キューブ」劣化版」VR ミッション:25 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
「キューブ」劣化版
数人の男女が一つの場所に集められて互いに協力し合いながら脱出を試みるシチュエーションスリラー「キューブ」は傑作だった。
本作がその「キューブ」にインスパイアされて作られたのはラストのワンシーンからも明らか。
しかし、その出来はかの作品に遠く及ばない。正直、本作が劇場公開されたのが不思議なくらいすべてがチープなテレビ映画レベル。BS放送を録画したものを見たので時間を無駄にした以外の被害はなかったが。
低予算なのは絵面を見れば、ぱっと見でわかる。しかし、出来れば脚本だけはもう少しお金をかけられなかったのだろうか。
まず登場人物たちのキャラクターの描きこみの薄さ。一応それなりに各人設定はある。最初は主人公かなと思っていた火傷のある青年、後にその伏線通り煙をみて救えなかった恋人の話を唐突にしだす。それを聞いてとってつけたように励ます看護師の女性。
限定空間に閉じ込められた人々のバックストーリーや心理描写はこの手の映画では必須であり、もっと丁寧にしてほしかった。
そして本作最大の売りである仮想空間バトルにおいても面白味は全くない。レベルをクリアすればするほど敵がパワーアップするわけでもない。どうせなら殺した敵の蘇る間隔がどんどん短くなって、いずれは殺した瞬間起き上がってくるとかにしたらゾンビ映画みたいでよかったかも。
そして何よりもオチの弱さがどうしようもない。どういうオチにするのかという興味だけで何とか最後まで見続けてあれでは。
ホント劇場でご覧になった方には同情する。今だったら間違いなく配信スルーの映画。
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