「アリと生しじみ。興味深いです」ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
アリと生しじみ。興味深いです
世界ベストレストラン50で2009年~2016年まで連続してベスト5入りしていて、そのうち2010年、2011年、2012年、2014年の4回1位に輝いているレストラン「noma」のスタッフたちが、2015年1月に東京のマンダリン・オリエンタル・東京において「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京」を期間限定で出店するまでの日々を追ったドキュメンタリー。
いやぁ、そんな事があったとは知りませんでした。って言うか、nomaに行くような生活はしていないので、知らなくても当たり前なのかもしれませんが、こんな世界的レストランが東京に期間限定出店したのなら、ニュースになっても良さそうですが、ニュースを作る人達も、こう言う情報が引っかからない人達なんですね。いやはや。
今回、レネ達がコペンハーゲンの本店を閉めてまで日本にやってきたのは、コペンハーゲンでの日々の活動に刺激を感じなくなってきたので、新たな刺激を求めてやってきたという事らしいです。なんか、シェフというより、アーティストですね。
今回の取り組みは、レネ達nomaのスタッフには、言葉はもちろん、習慣、食物など勝手が違うことばかりで、メニュー作りに中々苦労していたことが描かれています。パンフレットやポスターにも使われていますが、アリですよアリ。イナゴは食べますが、アリは食べないよなぁ。でも、アリを使った料理は、nomaの本店でも出しているようです。
そして、今日は初日ということもあって、上映終了後にコラムニストの中村孝則さんのトークショー。中村さんは、世界ベストレストラン50の日本地域のチェアマンもやっているそうです。トークショーの中身的には、
・世界ベストレストラン50は世界中のレストランのランキングであって、その時々のトレンドが見える。一方ミシュランは、レストランの評価なので、時の流行などにはとらわれず、そのレストラン自体の評価
・世界ベストレストラン50は、世界を27の国と地域に分けていて、それぞれにチェアマンがいる。チェアマンが各地域の投票者40名を任命。投票者の34%がシェフ、33%がフードジャーナリスト、33%がフーディーズ(料理を食べ歩く美食家)と割合が決められている。
・各投票者は10票持っていて、自国のレストランに6票、他国のレストラン4票投じる事になっている。投票可能なレストランは、18ヶ月以内に実際に行った事がある店で、その監査はかなり厳密に行われている。
・毎年投票者の1/3を入れ換えている。そう言う投票者の入れ換えがあるので、ランキングが年によって入れ換わる。
・世界ベストレストラン50で1位になると200万の予約が来る!それほどの予約が有るということは観光業にも影響があって、デンマークは、nomaがあることで11%観光客が増加した
・オーストラリアは、レストランによる観光客の増加を見て、国家事業としてレストランオーストラリアを推進。来年の世界ベストレストランのコンベンションはオーストラリアのシドニーで行われる。
・映画の話に戻ると、レネ曰く「日本は色んな海岸線と山がある。そう言う所はスカンジナビアと似ている。」と言う事で、料理で海と山を表現しようとした。一皿目の海老にアリが使われているのは、そう言うこと。
・(アリを使った料理について)アリが気持ち悪いと言う人は居ると思うが、そう言う意味ならば生の海老が気持ち悪いと言う人もいるだろう。その人の宗教感や食べ物に関する意識を変えようとも言うことでもある
・生の蜆はチャレンジング。食中毒の危険もあるので普通は出せない。だが、食べてみたが美味しかった。衝撃的。でもなぜか、後半はメニューから外れた。
・ベストレストランに選ばれるのは、ガストロノミーレストランと言うジャンル。このジャンルは、食べ物だけでなく、サービス、店の雰囲気、カトラリー等も対象。店に行った客に、何か驚きがあるところが選ばれる。しかも、18ヶ月以内に行った事がある店が投票対象なので、店側も常に新しいことをする。これはある意味、店のコレクション化(ファッション化)を加速している
・nomaのレネが来たことによって、日本の良さが再発見されたのではないか
・いまオスレリア・レストラーナが注目。それと、ペルーのレストラン、セントラルも注目。レネも次は南米に行くらしい。
・レストラン業界的には、中南米、アフリカがこれから注目。アフリカは、まだ1店舗しか世界ベストレストラン50入っておらず、これからが期待。
とかぐらいですかね。20分と短い時間でしたが、トークショーも意外に面白かったです。