「馬鹿が集まったら偶然何か良い感じの化学反応が起きた話」ビキニ・カー・ウォッシュ alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
馬鹿が集まったら偶然何か良い感じの化学反応が起きた話
「人間が一番馬鹿になりやすいのは大学生(※個人的偏見)」っての、アメリカでも同じなんだな…と感じさせてくれるおバカ系作品。ちなみにコメディというほどおもろくない。下品おバカ系の作品を良い感じにまとめたら人間ドラマになっちゃったみたいな出来。嫌いじゃない。
基本、スタイルの良い女性がビキニ着てウフンアハン言いながら他人の車を洗車するだけの映画。
ビキニだけかと思いきや、開始数分でオネーチャンのおっぱい出てきて目が点。
ただただ馬鹿なことやってる合間にちょっと良いこと言うだけの映画なので、ぜひ夜中に一人で見ましょう。別におすすめはしません。
あらすじ:
大学生のジャックは、父親が「経済の成績を完璧に」という約束のもと貸された広い一軒家で、しょっちゅうパーティをしたりセフレを連れ込んだりとやりたい放題。経営学の単位は落とすギリギリだったが、教授から「1週間でビジネスを成功させたら単位をやる」と持ち掛けられ、洗車場を押し付けられる。そこで、借金の返済に苦しむギャンブラーのヴェックスと、データ大好きなオタク系のマービンと組んで、美女を集めてビキニ姿で洗車をさせるビジネスを始める。最初は父や教授にバレたら…と渋々だったジャックだが、成功するにつれ自信をつけていく。しかし、体を売りにするのではなくビジネスとしてしっかり線引きすべきと考える経営者ジャックと、実際にビキニ姿で洗車をしている女性達の間で意見の相違が生まれ始め…
うーん、こう書くとしっかりした話みたいな気がするというか、ただビキニで洗車してるだけってわけでもないんだよなーと思うものの、でもやっぱりビキニでウフンアハン言いながら洗車してるシーンが多すぎて他があんまり入ってこない。そんな都合良くいくか、という疑問も勿論あるけど、まあおバカ系だしな。
人間ドラマもあって、恋愛や成長物語も含まれてるんですが、どうにもこうにも、タイトルがビキニ・カー・ウォッシュなんで…
出てくるキャラクターがほとんどバカかクズなのに何となく許せるのも、おバカ系ならでは。
ちなみに、一応美女と書きましたが、やっぱ低予算なんで、そんなにすんごい美女は出てきません。皆スタイルは良いけど。
トリ役の女性が、最初は全然光るものなしという感じで見ていたんだけど、話が進むにつれ、笑うと愛嬌があってちょっとキャメロン・ディアス似?の笑顔で可愛く見えてきました。普通に俳優なのかと思って調べたら全然情報がなく、本作にしか出ないで俳優の道を諦めたのか!?と思ったら、元はAV女優なのだそう。だ、だからあんなにチチをバンバン出してたんか…
確かにビキニ美女を演じてた女性達は、演技力があるかと言われると…?だったので、他のビキニ美女達も(少なくともチチ丸出しにしてた人達は)そうなのかもしれませんね。
唯一?カメラマンのブリタニー役アシュレイ・パークはおっぱいどころかビキニ姿すら披露していませんが、こちらは調べたら普通に映画俳優で、一時期話題になった『エミリー、パリへ行く』にも出演しているそう。やっぱりセックスシーンや裸体は本業のAV女優に全部お任せだったのかな。
主人公のジャックは、最初は好きな人がいるのに家にセフレを連れ込んでたり、セフレとセックス中に携帯に夢中になって途中で怒って帰られたり、クズでバカでどうしようもない奴なんだけど、友達思いなところもそれなりにあって、もちろん良いところもある。でもバイトをクビになって仕方なく、父親に家賃を払うために友人達を家に住まわせ家賃を回収している。でも父親にはそんなこと言えないし、有能なビジネスマンである父親に、経営学の成績が悪いことも話せずにいる…という、よくある追い詰められたおバカ大学生。セフレ作ってる場合じゃねえだろ。
協力してくれたマービンはトリとのセックス目当て、ヴェックスは女の裸目当てと、女をモノ扱いしている奴らの発案なんで、最初は映画作りのためにと撮影していたブリタニーもちょっと訝し気。でも実際に始めてみたらとんとん拍子にうまくいって、女性達も楽しそうだし、まあいっか~という、メインストーリーはまじで薄っぺらい話。
何か最後にフェミニストの友達に映画を見せようとしてたとか何とか、でもビキニ美女当人達が楽しそうなんだから良いじゃん、みたいな話で締めてるんだけど、何か勘違いしてないか…ここだけ言わせてくれよ…(絡み酒)
フェミニストの言い分は、歴史的に女性達がモノ扱いされてきて、女性達本人も都合の良い道具扱いされていることに気づいてすらいないケースが多いために、男性目線で作られてきた社会を一度リセットするべきだし、男女とも長い間洗脳されていたことに気付くまで、「自分の意思で」それを選んだとは言い難い。ということで、「(現代の)女性達が楽しんでるからいっか」ではないよ、という内容。これを理解してないと、そもそもフェミニズムが気に入らないとか間違ってるとかいう以前の話。
まあ本作ではそこまで深く触れてないんだけど、何となく「本人達が良いって言ってるんだから良いじゃん!!」と言いたそうな雰囲気を感じたので一応。
これが通っちゃうと、ストックホルム症候群や自殺なんかも、「本人が良いって言ってるんだから良いじゃん」になってしまうから、実はすごく危険な思想なんですよね。日本では自殺も「本人の意思だから…」とかいう認識の人が未だにいますが、脳の異常です。ほとんどの場合、本人は正常な判断ができる状態ではないし、だから医者やカウンセラーがつく。
脳って実は繊細過ぎてすぐにバグるし、「意思」なんてものは思っているほど自分で操縦しきれてないということです。
ここだけはちょっと違和感でした。ビキニでウフンアハン言いながらおっぱい出してるおバカ系なのに、わざわざ言い訳のために理解できてもないフェミニズムを引っ張り出さなくても良かったんでは…
そして何故か途中にちょくちょく入る恋愛ターン。ビキニでウフンアハン言ってるだけの映画に、突然恋愛劇が差し込まれ、ほんの少し愛憎入り混じった感じになった後、すぐにハッピーエンド。何やこれ????単純すぎだろ!嫌いじゃない。
マービンは最初、トリの体目当て?だったんだけど、アマンダはトリが好きで、トリとアマンダが急接近するなかマービンは何とか自分に振り向かせようとトリをデートに誘う。
……途中から何故かマービン、トリを恋人にしたがってる。あれ?体目当てじゃなかったっけ?
まあそれは別にいいんだけど、トリにジョーク言ってドン引きされた時、マービンが「高嶺の花だ」と言うと、主人公のジャックが「女の子はみんな特別だ。その子に合う方法を探せ」と言う。で、そのやり取りをたまたま見たジャックの想い人ブリタニーが、「彼の力になりたいのね。優しさもセクシーよ」。
…へっ??
……(゚Д゚;)!?
いや、こんなバカ映画でそんな良い台詞が聞けると思わんかったよ…お前ら……!
女とか男とか、日本人とかアメリカ人とか、ひとくくりにされがちだけど、当然それぞれ一人一人が別々の人間で、違った考えや性格を持っていて、その人に合った仲良くなり方があるんですよね。当たり前なのに、何故か「女はどうせ皆こうだろう」「知り合いのアメリカ人がこうだったからアメリカ人はこういう国民性だ!」となる人が多い不思議。
そして、何といってもマッスルとかってぇアゴがセクシーな男の必需品と言われるアメリカの映画で、マッスルもかてえアゴも持たないジャックに「優しさもセクシーよ」と言うブリタニー…いや、君ら、良いカップルだよ。優しさはこの世で一番セクシーだよ。まじで。
トリとアマンダのカップルも何か好きだったけど、ジャックとブリタニーも良いね。お幸せに!
で、ジャック、お前は二度とセックス中に携帯いじるんじゃねえぞ。