「さえない青春を微熱で活写。ダメ親父な光石研が最低で最高」14の夜 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
さえない青春を微熱で活写。ダメ親父な光石研が最低で最高
「中二病」という言葉に象徴される、14歳頃の心の状態。自意識過剰で、性的な興味と妄想で頭が一杯、でも仲間も大事で、やる気が出たり出なかったり。
十代の成長物語といえば、少年ジャンプの三大原則でもある友情・努力・勝利を描く作品が多いが、本作はその3要素がどれも中途半端で不完全燃焼。しかしだからこそ、現代日本のリアルな青春の気配を濃密に漂わせる。ポジティブなストーリーからはこぼれ落ちてしまうような、くだらなくたわいない、かといって冷め切っているわけでもない、ほどよい微熱の瞬間の積み重ねが、大人になるための準備になるのだろうか。
メインはもちろん14歳の少年たちだが、その1人の父親が絵に描いたようなダメ親父ぶりで、でも光石研が演じると妙な説得力とえも言われぬペーソスがある。尊敬できない父親の存在が、少年の不安と将来への悲観の一因になっていることも、さりげなく重要な視点だと思う。
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