「ひとつの試みに過ぎない」LISTEN リッスン SHさんの映画レビュー(感想・評価)
ひとつの試みに過ぎない
聴覚障害者にとっての音楽を映像だけで表現しようという難題に真摯に向き合っていると思うが、伝わってくる部分があまりにも少なかったように感じる。
障害者目線に立っての制作姿勢なのだと思うが、広く伝えようという基本的映像制作を忘れないで欲しかった。
淡々と聴覚障害者の音楽を並べ立てるというのならば、それはそれで潔しと見ることができたが、しっかりと字幕も入るし、よく分からない詩のような字幕もいきなり入ってくるし、であるならば、あの音楽やそれを奏でる人の背景なども丁寧に説明してもよかったのではと思ってしまう。
厳しくいってしまうと、立派な大義名分だけがあって、出来上がった作品は作品として成立していないと言わざるを得ない。奇麗事だけで済まされている。もっともっとこねくり回して、あらゆる手段を使って、もっとこのテーマの本質がストレートに伝わってくるような作品を期待していたのだが…
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