「これはきっと「バッド・チューニング」のその後の物語」エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
これはきっと「バッド・チューニング」のその後の物語
リンクレイターは文系オタク属性とジョックス的マッチョ精神を併せ持っていて、どちらもがすんなりのひとりの人間に収まっている感じがする。
リンクレイターの実人生同様に主人公が大学の野球部に推薦入学する本作は、少年が繊細なアート系に成長していく「6才のボク~」の続編的作品というより、初期の学園群像劇「バッド・チューニング」のアメフト部員のその後の物語と考えた方が近いだろう。
体育会系でありながら文化系属性を持った主人公が、その狭間で揺れたり悩んだりするのではなく、どっちもありだろうといった風情で青春を謳歌している本作ののびやかな空気は、リンクレイターでなければなかなか描き出せなかったのではないか。
青春映画にはいろんなタイプがあるけれど、オタクと体育会系のどっちかに振り切れるのでなく、中間地点よりもわりと体育会系寄りという本作の匙加減はジャンルの中でも珍しいし貴重な逸品だと思う。
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