「DCユニバース、初の大成功!」ザ・フラッシュ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
DCユニバース、初の大成功!
「ザ・フラッシュ」については、とにかく面白いっていうことしか伝えられないよね。予告を観た時から面白そうだと思ってたけど、こんなに面白いと思わなかったよね!
今まで観てきたアメコミ系映画の中でも、ベスト5には入る面白さ。
何だよ、DC面白い映画作れるじゃん!
それもこれも、必要なことは映画の中で最低限ちゃんと説明される構図になっているからだ。オープニングミッションの中に①フラッシュがジャスティス・リーグに所属していること②世間でもそれが認知されていること③ジャスティス・リーグの他のメンバー④フラッシュの能力や能力の副作用⑤フラッシュことバリー・アレンの性格、という「映画を観る上で把握してなきゃならないこと」がきっちり入っている。
多分、過去の作品を観ずにいきなり「ザ・フラッシュ」だけ観ても置いてけぼりにされずに済むだろうと思う。
性格や立ち位置も相まって、元々フラッシュは他の作品でも割とコミカルなキャラクター。それを十分活かした「本人は真面目にやってるけど、何だかちょっとシリアスに乗れない」感じが絶妙に面白い。
母を死の運命から救い出す為、過去を変えてしまったバリー。元の時間軸に戻るはずが、過去のある地点に弾き出されたことで、同じ世界に自分が2人。
歴史通り過去の自分に能力を与えようとして、自分自身は能力のない「単なる未来から来た人」になっちゃう展開も面白いし、能力目覚めたてのヤング・バリーに翻弄されるのも面白い。
倒したはずのゾッド将軍から世界を救う為、普通のスーパーヒーロー物なら主人公がゾッド将軍と戦うことになるんだろうけど、今のバリーは知識はあってもただの人。戦う手札を揃えようと必死にジャスティス・リーグのメンバーを探さなきゃいけないのがフラッシュらしい「シリアスに乗りきれない」感じ。
ワンダーウーマンは手掛かりさえなく、アクアマンは生まれてない。バットマンだけは謎の存在ながらも一応みんな知っていて、何とか訪ねたブルース・ウェインは別人。いや〜、これどうするよ?の連発だし、状況に翻弄されるバリーがいちいち面白いのである。
作品は「ザ・フラッシュ」だけど、実質バットマン映画とも言えなくない。現在パートでバットマンを演じたベン・アフレックは今回が最後のバットマンらしく、だからなのかオープニングミッションでの活躍っぷりが凄いし、過去のバットマンは初代を演じたマイケル・キートンで、もうそれだけで映画ファン的に胸熱!
そもそも予告で「I'm BATMAN」って言ってるマイケル・キートン観たからこそ「ザ・フラッシュ」観に来たわけだからね!
過去のバットマンもオープニングに負けず劣らず、ド派手にバットウィングを登場させ、ヤング・バリーと同時に「マジか、かっけぇ」と心躍らせてくれるのだ!
他にも元々普通の人間であるバットマンが爆弾を駆使して異星人と戦うあたりが、「ジャスティス・リーグ」では完全に足手まといだったバットマンとは一線を画す出来映え。そうだよ、こういうバットマンが観たかったんだよ?!しつこいようだがやれば出来るじゃないかDCめ!
話をフラッシュに戻すと、改変してしまった世界はある時点で過去すらも書き換わり、違う世界として分岐してしまっている。その因果はもはや平行世界ではなく、色々な方向に絡み合うマルチバース。
母を助けたい、母の生きている世界を助けたいというバリーの思いとは裏腹に、その願いが足枷となりあらゆる世界が衝突し消滅しようとしている現実。
2人のバットマンが口にする「過去の傷があるから今の自分がある」という言葉、それを受け入れ、母のいない世界を受け入れたバリーに思わずホロリときてしまった…。
いつもコミカルなくせにズルい!
殆どの過去を変えず、たった1つ、トマト缶の位置だけを変えて父の無実を証明することだけは出来たバリー。相変わらずちょっと変人で友達いなそうなバリーに、これでビタースイートなハッピーエンドかな、というところで、現れたブルース・ウェインはまさかのジョージ・クルーニーですよ!
「元に戻ったんじゃないのかよ!」っていうね。今後のジャスティス・リーグってどうなんのよ?!と思いつつも、久々に観たジョージ・クルーニーがメチャメチャカッコいいからどうでも良くなっちゃった(笑)。仕立ての良いスーツで出てくるだけで「マジか、かっけぇ」なんだから困っちゃうよね。
何かほとんどバットマンの話しかしてないが、やっとDCがやりたかったユニバースの成功例を観られた気がする。マルチバースの中でスーパーマンになれたニコラス・ケイジも満足しているじゃなかろうか。
おまけにちょっとだけジェイソン・モモアも出てきたし、初めてDCの次回作が楽しみになったぜ。