「凄い楽しい…」ザ・フラッシュ yudutarouさんの映画レビュー(感想・評価)
凄い楽しい…
面白かった!というのは大前提で、まずはストーリーが酷い、というのは書いておかないと…。ヒーローのマッチポンプで物語が展開するというのは、もうアメコミ映画のほとんどがそれなんで今更文句を付ける気はないが、今回は特に酷かった!主人公の個人的動機による行動で本来存在しえなかったキャラクターたちが創造され、しかも無為に消滅させられるというちょっと許されない展開で、しかも一旦物語が収拾したあと、世界をまるごと滅亡させたに等しいくせに一件落着的な落ち着きをみせる主人公の倫理観に唖然とした。まあ、今作が長いサーガの序章であり、別世界線のバットマンやスーパーガールも次作以降でちゃんと救済される展開が用意されているのかも知れないが、だとしてもメチャクチャではある。しかし、そこを差し引いても凄い楽しかった。
とりあえず、途中でわりとしつこく繰り返される幻のエリック・ストルツ版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ネタが、まさか最後のティム・バートン版ニコラス・ケイジ『スーパーマン』の前振りギャグ(?)だったとは!にしてもティム・バートン要素が異常に押し出されているのは何なの?マーベルは全方位的にサービス振り撒いているけど、こっちはファミリー層そっちのけで完全に映画マニア、ファン向けにやってるとしか思えないんだが(嬉しい…)。『スパイダーマン』に倣っての前シリーズ含めてのユニバース化というのは分かるけど、同じシリーズから2人のブルース・ウェインを持ってくるとかメチャクチャだけど楽し過ぎる。『フラッシュ』の高速移動の演出もテンション高くて最高で、特にあの超能天気なスーパーグラスのブリットポップ、『alright』をBGMに別世界のバリー・アレンが高速移動でハチャメチャやらかす場面とか最高だった。スーパーガールも可愛いくてちゃんと強そうなのが良かった。なので、おバカで愛嬌のある別世界バリー・アレン、スーパーガール、それにもちろんマイケル・キートンと、これだけ魅力的なキャラを登場させておいて、これをそのまま無駄死にキャラとして使い捨てにはしないだろうと思うのだがどうなんだろう。そして今作を起点に今後はジェームズ・ガンもコミットしてDCが拡大していくとして、今作でかなり色々詰め込んでいたので、次作以降のハードル、相当高いよなー、とも思った。楽しみではあるけど、どう転がるか予測つかないな。