「とても面白かったが根本的な問題も」ザ・フラッシュ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
とても面白かったが根本的な問題も
演者も設定も違うとはいえ、ドラマ版の「フラッシュ」を観ていないと話がわからないかなと不安に感じていた本作。設定をとてもわかりやすく説明していたので一安心。冒頭、ビルの崩壊から赤ちゃんを救うシーンは、若干コメディテイストが入っていて、フラッシュというヒーローの特性やこの映画の雰囲気をうまく伝えるものだった。
冒頭の救出シーンの後にメインの話が始まる。過去に戻る能力に気づいたフラッシュことバリーが、亡くなった母が殺されることのないよう過去を改変。母を救うことができたが、スーパーマンが倒したはずのゾッド将軍が地球を襲ってくるという話。過去を改変したことで、バットマンは別人になり、スーパーマンやアクアマン、ワンダーウーマンが存在しないという設定が面白い。スーパーマンの代わりにスーパーガールが登場し、別人のバットマンと協力してゾッド将軍を倒そうとするのだが…。
マイケル・キートンのバットマンが登場することは予告編で知っていたが、クリストファー・リーブやニコラス・ケイジのスーパーマンが見られるなんて思っていなかった。ま、ニコラス・ケイジのは映像化されていないから初出しになるのだが、これがまた一風変わったスーパーマンで面白かった。そしてスーパーガールがまたいい。中盤はむしろスーパーガールの映画として楽しんでしまった。
母とのやりとりが感動的だし、最後はなんかいい話として終わる。はー、面白かった。と思ったのだが、根本的なことに気づいた。本作のフラッシュはメインの敵(ゾッド将軍)を倒さない。スーパーガールやキートン・バットマンが殺されるのを助けることができないのだ。こんなヒーローものあり!?と驚いてしまった。違う世界線を見捨てる話じゃないか。
最近のヒーローものは過去に戻る話とマルチバースの話が多すぎやしないか。いろんな人が演じた同じヒーローを観ることができるのは嬉しいのだが、似たような話が多いなと思ってしまう。敵を倒すという単純な話では満足できなくなっている私たち観客にも問題があるのかもしれない。それでもフラッシュはまだ続くから、次作以降も楽しみにしてしまうけれど。