「幽霊に感情移入したのは初めてかもしれない。」私はゴースト haruさんの映画レビュー(感想・評価)
幽霊に感情移入したのは初めてかもしれない。
Twitterでオススメに上がっていたので観てみました。
序盤は同じような日常のシーンの繰り返し。
卵美味しそうだなーとか、モダンな家の雰囲気が素敵だなーとか、ワンピースが可愛いなとか、
そんなことを思いながらぼーっと眺めていました。
そこに時折差し込まれる不穏な空気がホラー映画っぽくて、これから何が起きるのかとワクワク。
霊媒師のシルヴィアとの会話のシーンからストーリーが少しずつ進展していきます。
動揺しながらも頑張って状況を理解しようとするエミリー。
幽霊とこれほどスムーズに意思疎通が出来るなんて、他のホラーではなかなか考えられない展開です。
また、霊側からも住人や霊媒師のことが見えない設定が面白いなと思いました。
あくまでも日常を追体験し続けるエミリー。その日常が繰り返される程、垣間見える狂気が目につく。
気を抜けば崩れてしまいそうなバランスにハラハラしながら、静かに彼女の行動を見守ります。
そしてラストシーン。
彼女の言う「怪物」が姿を現してからの急展開。
必死にシルヴィアに助けを求める姿には人間性が溢れていて、彼女が幽霊ということを忘れてしまいそうになります。
やっと聴こえたシルヴィアの声に、エミリーが助かるんだとホッとしたのも束の間、その視界に光は見えません。
「私はゴースト」と繰り返し呟きながら闇に包まれていくラスト。
きっと、その家に住む「彼ら」にとっては除霊が成功したハッピーエンドなのだろうけど、エミリーはどうなったんだろう。
怪物に追い回される彼女を頑張れ、と応援してしまうほど、感情移入してしまうラストでした。
怪物のキャラクターも見た目はアレでしたが、わかりやすい悪意を持った性格といい、因果を断ち切られ慌てふためく様子といい、
なかなかにコミカルで面白かったです。
賛否両論ある映画らしいですが、個人的にはこの斬新さも、後半にかけてのテンポ感も、それほど重すぎないサイズも好きな作品でした。