ホース・マネーのレビュー・感想・評価
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場所も時間も人物も、ある意味モノでさえ、非共可能的な世界で溶け合う...
場所も時間も人物も、ある意味モノでさえ、非共可能的な世界で溶け合うというか響き合うというかバラバラに鳴るというか、映画以外では表現できない何かが強烈に感じられる怪作。
他にはない現実感
例えば、ジャ・ジャンクーの映画のような、人々から見捨てられ廃れた建物や、人々に顧みられることのない貧しい者しか立ち入らないであろう施設の描写。これらは強い現実感を伴って、観客の前に立ち上がっていくる。
しかし反面、動きの少ないカメラワークと、登場人物にとっての現実と虚構を行き来する編集は、観る者に忍耐と集中力、又はそれらを放棄してスクリーンに映っていることへ身を委ねることを要求する。
ポルトガル社会の底辺で生きることを宿命づけられた黒人たち。この人々の生き様を、ドキュメンタリーのような現実感で包み込むように描く。
被写体への照明の当て方やカメラの動きは計算されているので、ドキュメンタリーではないことはすぐに分かる。はたしてスクリーンの中に自分が見せられているのが、現実の再現なのか、誰かの想像の再現なのか判別しがたい苛立ちを伴いながら、不思議な世界観へと誘い込まれる。
ジャ・ジャンクー映画のリアリズムが、誰かにとっての現実を再現しようとしたものとするならば、ペドロ・コスタは誰かの記憶や感傷の再現を試みることで、観客に現実感を味わわせている。
捉え方が解らない
まるで時空移動をしているかのように場面展開が変わり現在/過去/未来/現実の世界なのか主人公の妄想の世界なのか理解出来ない。
映像も世界観も暗く重い弱々しい怒りを感じられるが全てが悲しい。
主人公のお爺ちゃんに徐々に愛着を感じられるが全ての事柄が現実を帯びていない。
観終わった後に何かが伝わっているような全く理解出来なかったような不思議な気持ちにさせる映画でした。
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