後妻業の女のレビュー・感想・評価
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大竹しのぶは演技怪獣ゴジラだった。
「生きるのに必要なのは欲望だ」とチャップリンは「ライムライト」の中で言っている。
ということは「スケベ」と「金」が大好きな人は、人間という動物としてむしろ健全なのかもしれない。
本作は結婚相談所の所長の目を通して、人間のあられもない、むき出しの欲望を描いてゆく。
物語はテンポ良く進むし、観客を飽きさせない工夫がなされている。良くできた脚本であると思う。
そして何よりキャスティングがいい。
結婚相談所の所長であり、やり手の青年実業家、柏木亨に豊川悦司。
そして彼の古くからのビジネスパートナー、竹内小夜子に大竹しのぶ。
この二人が狙うのは老人である。条件がある。
①資産を持っていること
②独り身であること
③病気持ちで余命が永くないこと。
結婚相談所の柏木は、熟年向けの婚活パーティーをひらいている。
この席にはもちろん小夜子も「仕込み」として出席している。
ふたりはここで、上記3項目に当てはまりそうな相手を見つけ出す。
このようにして小夜子は、いままで8人の男の妻となり、柏木とともに遺産をまんまと手に入れてきた。
今また9人目のターゲットが目の前にいる。
元女子短大教授の中瀬(津川雅彦)である。小夜子は首尾よく中瀬の「後妻」の座に就き、筋書き通り夫は間も無く病に倒れる。中瀬の遺産は、今回も小夜子と柏木の手中に転がり込むはずだった。
しかし、ここで中瀬の次女、朋美が立ちはだかる。気の強い一級建築士、朋美は友人の弁護士、守屋に、今回の遺産相続の件を相談した。
弁護士守屋は小夜子の正体を見抜く。
「これはプロの手口だ。『後妻業』だよ」
こうして後妻業のプロフェッショナル、小夜子・柏木チームと、朋美たちとの、遺産を巡る闘いが始まるのである。
この時、小夜子たちが朋美の前に、誇らしげにかざして見せるのが「公正証書遺言」である。
僕の知人の行政書士さんは「終活」講座を開いている。今、大流行りである。その席で、必ず受講者に勧めるのが「公正証書遺言」を作っておくこと。
講師の彼の話では、遺産相続を巡り、骨肉の争いになるのは、意外にも少額の遺産の場合が多いそうである。なかには相続の話し合いの場で、包丁を持ち出して大荒れになったケースもあったそうだ。
そんな不毛な争いを一発で解決するのが「公正証書遺言」なのである。
本作の小夜子と、所長の柏木は、この書面の効力が、いかに絶大なのか、をよく知っているのである。
本作での見所は、もちろん、大竹しのぶと豊川悦司の切れ味のいい演技の「饗宴」だろう。
大竹しのぶ、という女優。
今までどれだけの称賛を浴びてきたことか。
本作を見て改めて
「ああ、この人は怪物だな」とおもう。
というより「演技怪獣だ」と思った。
表面上は大竹しのぶという「着ぐるみ」を着ているが、中身はじつは「演技怪獣ゴジラ」なのではないか? とさえ思える。
本作では、狙った獲物である資産家の老人たち、その人生や親族までをも、まさにゴジラさながら、破壊しまくってゆくのである。
小夜子にはやがて、朋美という強敵が現れる。
演じるのは尾野真千子である。
実際、この二人は焼肉店のシーンで、人目もはばからず、取っ組み合い、殴り合いの大立ち回りを演じる。
「そして父になる」で共演した真木よう子に言わせると
「私よりオッさん」という尾野真千子。
根っからそういうキャラだからこそ、怪物女優大竹しのぶのほっぺたに、遠慮なく平手打ちを食わせることができるのだろう。
結婚相談所所長役の豊川悦司の演技も良かった。
一言で言えば彼の役どころはインテリヤクザなのだ。
銭と法律に関する知識と経験。人を操る人心掌握術。ヤバイ状況に追い込まれてもとっさに機転を利かせ、危機を紙一重ですり抜けてゆく男。
やはり才能がある。
一流の「ワル」になるためには、もちろん、それなりの努力も必要だ。
どういうシナリオでお宝を手にするのか? その企画力と見識、さらに、こまめに動くフットワークの軽さ。何より働き者でなければならない。
金が持つ魔力に取り憑かれた、人物たちを描いた傑作として、伊丹十三監督の「マルサの女」「マルサの女2」がある。
見事なまでの巧妙で精緻な脱税の手口。描かれる人物像を見ていていつも思う。
金のため、脱税のため、それだけの努力ができるのであれば、どんな職業についてもそれなりに成功を収めるだろう。では、なぜ合法的な経営をしないのか? 疑問は残るが、本来まっとうな人間の感覚さえ、麻痺させてしまうのが「お金」の魔力ということなのだろう。
なお、本作においての笑福亭鶴瓶氏の演技は、まあ悪く言ってしまえば「客寄せパンダ的」である。
この人ほど、映画やドラマで「演じる」ということに関して「魂の入り方」がすぐわかってしまう人も珍しい。今スイッチはオンなのかオフなのか、素人にでもわかるのである。
本作ではもちろんオフの状態の演技なのだが、それでも完成版でOKを出したのは監督である。
本作において、この人物抜きにしても、ストーリーの流れとしては全く影響はない。笑福亭鶴瓶氏の、役者として最高の演技を引き出したのは、西川美和監督である。「ディア・ドクター」をみれば、バラエティ番組などで稀有な才能をみせてくれる、上方落語家が、一旦役者のスイッチが入った時、その潜在的能力のすごさに圧倒されるだろう。
やっぱ 大竹しのぶは演技凄いねっ 後妻業って... 爺様相手して ...
やっぱ
大竹しのぶは演技凄いねっ
後妻業って...
爺様相手して
苦労して家や株をお金にして
家族のささやかな抵抗で
家は売れず
現金化出来てなかったけど(笑)
色々手間はかかるし
リスキーな割には
たかが数千万...
しかも折半(笑)
無いわぁ〜
これが生業なんて
やっぱ
あたま悪い〜
大竹しのぶ
伊丹作品を彷彿させます。
劇場は年齢層高めの観衆です。トヨエツも最近露出減り気味で若いファン減ったのかなぁ〜そのトヨエツは怪しさ全開の役を熱演!水川あさみや尾野真千子はこのクラスの配役が映えますね。トヨエツと濡れ場演じる樋井明日香は本作でも体当たり演技です。主演の大竹しのぶは上手いのは当然だが 魔性の女には思えないんだよね。黒木瞳など美熟女を主演に添えてみてみたい作品です。
ベテラン鶴橋監督の演出は文句なし。
想像通り・・・
大竹しのぶ主演と聞いただけである程度の予測ができるが、登場から最後まで驚きも無かった。違う人がやってたならどうだったんだろうなあとついつい考えてしまう。
しかし、豊川悦司の存在感は凄い!
リアルな関西弁、しょーも無い男を完璧に演じている。本当に上手い役者なんだなあと感心。
豪華キャストの2時間ドラマのスペシャル感。
面白かった
大竹しのぶと豊川悦司のコンビが良い味出してて笑えます。
こんな商売て有るのかなぁ…と、不思議ですが楽してお金を稼ぐには人の財産をネコババするしか無いのかも…
鑑賞に来てる方は、年配の方が多かったです。
面白かったです。
メッセージがあるね。
社会で大きな成功を修めた富豪の男たち。
そんな男たちも加齢には勝てない。
結局、豪邸に一人残され生活する。寂しいよね。そんな生活を一掃してくれる女。そりゃ全財産叩いても良いという気持ちにもなり、狂うよね。心の隙間産業。そんな男女沢山居ると思う。
シニアに大ウケ、周囲に乗って自分も笑えた
トレーラーから想像する通りの内容だったが、エピソードや台詞、演出で笑わせてくれた。キャパ140席で満席に近く、やむなく最前列で鑑賞。80%以上がシニアだった。
役者を楽しむ。
黒川博行の原作の映画化は、実は珍しい。初めてではないにしろ、著作数のわりには少ないほうであろう。
関西弁がネックかもしれない。
資産のありそうな独身の老人を狙って、その資産をいただこうという後妻業。結婚相談所の所長と、いわく言いがたい女が組んで、この悪だくみを果たしていく。
鶴橋康夫がTVでやっていたシリアスなものから一転して、コミカルなやりとりが続く。それも関西弁のなせる技かもしれない。
先の読めないストーリーもさることながら、本作は役者の芝居を存分に楽しむ作品になっている。
新藤兼人監督作品で共演経験のある大竹しのぶ、豊川悦司のはじけぶり。そこへ関わっていく永瀬正敏との化学反応は、観ていて本当にワクワクした。
大竹しのぶ、永瀬正敏といえば「死んでもいい」(石井隆監督)である。
娯楽に徹した大人の日本映画が少なくなっている現状では、貴重な映画である。
こういった映画が増えてくれば、日本映画も健全といえるのに。
笑える
観客はシニア世代の方ばかりで20代は私1人でした・・・( 笑 )
大竹しのぶさんの演技が素晴らしくリアリティあり笑いもあり面白かったです。
終り方を見ると続編もあるのかな~なんて思ったりしてます。
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