劇場公開日 2016年8月27日

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「結局色と金に惑わされるのが人生なのか」後妻業の女 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0結局色と金に惑わされるのが人生なのか

2016年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

実際現実にもこんな事件は起きているだけに、喜劇とは言え単純に面白かったと笑うには少し抵抗もありますが、それでも怖面白かったです!
むしろシリアスに描かれた方が生々しくて見ていられませんから、まあこのぐらい面白おかしくやってもらった方が、映画的には楽しめると言うものでしょう。
しかし結構アバウトな感じで後妻業しちゃっているところに、ビックリさせられたと同時に、ある種のリアリティも感じたと言うか、案外こんなものなのかもと、妙に納得させられた部分もあった映画でしたね。
勿論、大竹しのぶの演技力あってこその説得力だったとは思いますが。

しかしこう言っては失礼ですが、飛び切りの美人と言う訳ではない小夜子の容姿でも、寂しさからとは言え何故次々と男は騙されるのか、現実の事件でもそうでしたが、このぐらいの容姿の方が妙な安心感が生まれるからなのでしょうかねぇ?
それにしても小夜子の男の釣り方が絶妙だったなぁ、そして釣った魚にはエサを上げない、どころか毒を盛る的な対処法に寒気が走りつつも、コミカルな大竹しのぶの演技にクスクスと笑わせてもらいました!

豊川悦司が演じた結婚相談所所長も大阪の小物な悪と言う感じで、いい味出してましたね。
大悪党ではない小悪党なところに、こちらも妙なリアリティを感じました。
簡単に人を騙すけど、自分も案外・・・なタイプだったのがまた何とも・・・。
まあとにかく大竹しのぶと豊川悦司コンビの掛け合いには、恐ろしいんだけど面白おかしく楽しませてもらいました。
男を騙すだけの人生な小夜子にとっての幸せって何なんだろうなと、ずっと考えながら見ていましたが、一見ヌルそうに見えるラストにそれが出ていたように見えて、なるほど納得なラストカットでしたね。
コトの顛末としては全くスッキリしませんでしたけどね、映画的にはアリかなと。

他にも大竹しのぶVS尾野真千子の女の戦いや(さすがの尾野さんも少し遠慮してたような?)、スカイツリー鶴瓶の正体等(イメージ的には粗○ンなのだが)、豪華脇役陣がこれでもかと盛り上げてくれたおかげで、ドギツイ映画ではありましたがとりあえず退屈とは無縁な映画でしたね。
柄本明もさすがの存在感(コント楓で笑えた!)、長谷川京子の癒しっぷりと豊川所長を惑わす水川あさみ&樋井明日香(いい脱ぎっぷり!)の妖艶な演技も印象深かったです。
永瀬正敏の探偵は若干中途半端だったかな。
しかし悪人しか出てこない映画は、見終わって妙な疲労感が残りますねぇ・・・。

スペランカー