劇場公開日 2015年10月24日

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「エンタメ要素にもリアリティが欲しかった。」ボクは坊さん。 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5エンタメ要素にもリアリティが欲しかった。

2016年5月23日
PCから投稿

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幸せ

お坊さんの日常なんて
考えたこともなかったけど、
僕たちと同じ普通の男の子なんだね。
という映画でした。

四国八十八ヶ所霊場、
由緒ある栄福寺の住職が亡くなり、
突然あとを継ぎことになった若者。
そこで描かれる苦労や葛藤が、
面白いし興味深いんです。
上司のような長老檀家との関係に気を使い、
酒を飲んでお店に迷惑もかければ、
坊さん同士の野球大会もある。
等身大のお坊さん像に、
わかるわかると共感しっぱなしです。
後ろ向きなポスターと、
エッセイ集がベースということで、
終始ユーモラスな映画だと思ってました。

しかし、中盤から突然シリアスに。

幼馴染の女の子の結婚〜病気で、
一気にウソくさい展開です。
ドラマティックにしないと
映画として成り立たないのかもという
監督や脚本家の計算なのかな。
かなり強引なリアリティの欠落に
全く感情移入できず、
シラけてしまいました。
病床の女優さんのバッチリメイクや
カールのまかれたヘアにもげんなりです(笑)

それまでテンポ良く見れていたのに、
ちょっともったいなかったなぁ。
エンタメにするならビリギャルのように、
リアルの範疇でシリアスを盛り込んで欲しかった。
前半のよかったエピソードが、
なんか台無しでした。

まぁそこは残念だったとしても、
主役の伊藤淳史さんは、
お坊さんにしか見えない熱演で、
お経もよくできてました(笑)
イッセー尾形さんの役作りも、
近年一番好きです。

朝の凜としたお寺や、
和の美しい風景にもため息。
随所にでてくる説教のひとつひとつも、
日本人にとって大切なお言葉でした。
ギスギスした毎日で
ココロが尖っちゃった人は、
洗われるはずですよ。
あぁ、お墓参りにいかなくては。

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