「誰が生き残るんだ!?」殺し屋チャーリーと6人の悪党 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
誰が生き残るんだ!?
冒頭では殺し屋チャーリー・ウルフ(サイモン・ペッグ)が今にも死にそうな状況が映し出される。原題が「Kill Me Three Times」とあるので、てっきり彼が3度殺されるというストーリーかと思っていたが、かなり違っていた。
タランティーノのような時系列を組み替えた3章立てで、誰が誰を殺そうとしているのかを徐々に解き明かしていくような展開で、最終章では主要人物が入り乱れてコーエン風のブラック・コメディとなっていたのです。オーストラリアの風光明媚なリゾート地の映像に心奪われ、そんな景観の中で殺伐とした人間関係が浮かび上がる。
歯科医夫婦のネイサンとルーシーはギャンブルの借金苦からアリスをルーシーだと偽装殺害して保険金をせしめようとする。アリスを車ごと崖から落として殺したかと思われたが、アリスはぎりぎりのところで脱出して助かったのだ。さらにアリスの夫ジャックは浮気の証拠を押さえて彼女を殺そうとチャーリーに依頼。しかし、一部始終を目撃していたチャーリーは「自分が殺した」と偽り報酬を得ようとしたが、直前にアリスが金を持ち逃げしていたのだった。
さらに、悪徳警官ブルースが歯科医夫婦の保険金詐欺に気づき、借金額と恐喝で大金を得ようとしたものだから話がややこしくなる。そして、血みどろの激闘・・・穏やかな町では、誰もかれもが親戚であったり、不倫や利害関係があったりと、人間の繋がりがあるものだと言うブルース。おぞましいまでの憎悪が大金のために蠢いていたのだ。
複雑そうだけど、二組の夫婦と浮気と悪徳警官という構図。特に笑えるのは第1章での間抜けな歯科医ネイサンだったが、サイモン・ペッグがそれほど面白くないのが残念なところ。愚直、魔性、尻軽、暴力、悪徳、卑劣・・・“卑劣”はちょっと違うと思うけど、悪の性格をよく表していると思う。