「「空間を支配しろ」とは言うけれど」クレイジー・ドライブ 判別者さんの映画レビュー(感想・評価)
「空間を支配しろ」とは言うけれど
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本作では「空間を支配しろ」という言葉が至上命令であるかのごとく主人公に降りかかってくるのだけど、それとは関係なしに空間支配力の塊みたいな人物がやたらめったら登場して、映画それ自体の空間を支配できなくなるほど好き勝手やっているのが面白いし、彼らを平気で野放しにしておく監督の余裕は一体どこから来るのだろうか。
さて、カロス氏は言うまでもなく、ピストル自殺したカールの亡霊、人を素手で殺す男ボリス、その他の有象無象をあっけらかんと放置する「映画=空間」が正常な磁場を維持することなど当然不可能であり、主人公と同じく散々な目に遭わざるをえない。
散々な目に遭うとはすなわち欠陥が多く残ることを意味する。クオリティーの低さは免れない。だから間違ってもこれを名作などとは思わないし、そもそも監督は「空間を支配しろ」と主人公に言っておきながら彼自身それを放棄して成り行き任せにしているではないか。あえてそうしたのだろう。最高かよ。
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