「ホラー映画史上最高の前半と最悪の後半」IT イット オレさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー映画史上最高の前半と最悪の後半
1990年メイン州デリーにて子どもを狙った連続殺人事件が発生した。
幼い頃からデリーにて暮らすマイクは事件を調べていく中で忘れていた27年前の凄惨な過去と約束を思い出す。
その約束を果たすべく27年の時を経て再会したかつての少年少女たち7人とピエロの出で立ちをした恐怖の存在ペニーワイズとの戦いを描いたホラー作品。
数ある作品の中でもホラーのアイコンの一つであり、ピエロに恐怖のイメージを植え付けたといっても過言ではないペニーワイズを描いた今作。
TV用に作られたという今作はDVDにしてまさかの両面再生タイプで187分と異色の長尺作品。
前半は登場人物の男女7人が27年前の出来事を振り返り、忘れていたペニーワイズによるトラウマに苛まれながらも勇気を振り絞り、ペニーワイズへと立ち向かう決意を描く。
7人それぞれの過去をくどいくらいに同じ演出で丁寧にしっかりと描く手法や少年時代の友情の芽生えや淡い恋心など原作者、巨匠スティーブンキングによる著書『スタンドバイミー』を彷彿とさせるジュブナイル味もあり、ホラー映画ながら心温まる演出もある一方、とにかく怖すぎるペニーワイズの存在感に終始圧倒される。
見た目が怖い、振る舞いが怖い、喋り方が怖い、さらに当時の映像の粗さもあいまって、とにかく全部怖くて自身が観たホラー映画のキャラクターの中で圧倒的にペニーワイズが怖い。
モノを浮かす、幻覚を見せる、変身するなど様々な特殊能力で子どもを追い詰めていくその行動原理がただ一つ、より恐怖を与えるほどに子どもが美味しくなるという点のみなのが尚更怖い笑。
洗面台から大量の血が吹き出してくるシーンはトラウマモノで劇場版でやるにしてもおかしいのにどうしてこれをテレビ放送でいけると思ったのかその倫理観を問い詰めたくなる笑。
現在の7人が集結するまでの件はホラー映画としてジュブナイル映画として概ね完璧で後半の序盤でのチャイニーズレストランでの件も気味が悪くてとても面白いのだが、ラスト10分で衝撃の事実が発覚し、それまでの恐怖が全てウソのように消えてしまうのが今作で最も残念なポイントだ。
何度見返してもどうしてああなってしまったのか、しかもああなってしまったのが原作通りだというのだから文句も言えなくて、結果自分は何を観ていたんだろうという気分にさえなってしまうから不思議だ笑。
なので今作は「毎回記憶を無くして素直に恐怖に襲われたい映画」と称しておきたい笑。
せめて最後までピエロでいてくれたらまだよかったのに、、
間違いなく不完全燃焼に陥るのでご注意を。
2015年06月13日(土)1回目
2019年11月02日(土)2回目