涙するまで、生きるのレビュー・感想・評価
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じんわり沁みる
アルジェリア生まれのフランス人作家カミュの短編が原作の、1954〜1962年にフランスの植民地アルジェリアで起こった独立戦争が舞台。
荒野にぽつんと建つ学校で一人で暮らす教師の前に連行されてきたアルジェリア人の若者。憲兵には彼を離れた街へ連れて行くように言われるが、アルジェリアの独立に賛成の彼はむしろこの若者に逃げて欲しいと思うのに、フランス人に殺された方が弟たちの為になり殺しの連鎖を止められる、と言う。留まっていると2人とも殺されるので、2人で銃弾を避けつつその街を目指すうちに、父と息子のような、職業柄か先生と生徒のような絆も生まれてくる。でもまだ何が何でも生き抜こうとしない若者に、理解しつつも苛立ち、生きることの大切さを説く。
荒涼とした土地、ヴィゴ・モーテンセンの乾燥した肌、抑えた演出の中、ラストがすごく良いです。
原題はLoin des hommes、男性から遠い?、カミュの小説のタイトルとは別です。若者は邦題とは反対に早々に涙をこぼしていて、邦題は主人公を言ったのかな。
音楽はつい先日息子が転落死したと報じられたニック・ケイブ!これがまた荒涼としてて良い。
荒野も砂漠も。
久々のヴィゴ鑑賞!やはりカッコいい。荒野も砂漠もよく似合う。
しかも俗世を捨てた男だ。小学校の中年教師?あり得ねぇ~ぞと
思いつつも、彼が子供達を優しく愛でる様子にますますの熱視線。
何をやっても画になる男は孤独世界が充実している。殺人容疑で
搬送されてきたアラブ人モハメドを裁判にかけるべく町まで連行
するよう仰せつかる元軍人の教師ダリュ。道中で語られる真相と
過去において二人の間に固い絆が芽生え始める。フランス人でも
アルジェリア人でもない差別や偏見からの不条理が往々に描かれ、
この邦題の意味を問う。運命を生きる方向へ導いた心情が伝わる。
(原作者カミュ自らの葛藤が投影された作品。モハメド役も名演)
日本では在日コリアの目線か。
フランス人として異国で生まれが、出自がヨーロッパの別の国のため、フランス人からもアルジェリア人からも差別される対象として生きてきた主人公独自の視点が、淡々と物語が進んでいくことで表されていると思う。
どちらの集団からも仲間に入れてもらえないが、個人的には友人関係をもっている。人は集団となっとき、個人的な友人よりも帰属している集団を取ってしますのはなぜなのだろう。
アルジェリア人の相棒が裁判所への道ではなく、生きる道を選択したのは、生きる意味を見失ったら、本能を覚醒する行動をすることによって、心の中から生きようという感情が芽生えるという意味か。
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