ベル ある伯爵令嬢の恋のレビュー・感想・評価
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奴隷制度廃止に一矢報いたある伯爵令嬢の恋
18世紀イギリス実在の黒人伯爵令嬢、ダイド・エリザベス・ベルの数奇な半生。
…と言っても、どんな人で何をしたかまるで知らない。
ストーリーやWikipediaから経歴を要約すると…
海軍士官と黒人奴隷女性の子。
海軍勤務の多い父は、叔父であるマンスフィールド卿に娘を託す。後に父とは死別。
黒人の子に当初は難を示す卿だったが、利発さを気に入り始める。卿の姪孫エリザベスと姉妹のように育てられる。
年頃の令嬢に成長するも、肌の色の違いで社交界デビュー出来ない。
そんな時、見習い弁護士のジョンと出会い、恋に落ちるが…。
名士の養女として地位はあるものの、いつ何処でも差別・偏見の対象。
ヒソヒソ陰口、冷ややかな視線が注がれる。
やがてジョンと婚約するが、これにはある裏が。
父の莫大な遺産を継いだベルと、貧乏貴族のジョン。
エリザベスはジョンの兄といい雰囲気に。エリザベスは資産は無いが、ジョンの兄は資産持ち。しかし、人種差別主義者で…。
障害のある恋だが、ジョンは純粋にベルを愛す。
ベルも戸惑い、時に自分の肌の色に葛藤しながらも、ジョンに惹かれていく。
が、障害はまだまだ襲う。
ある事件をきっかけに、ジョンとマンスフィールド卿が対立。交際を反対する…。
その事件とは、“ゾング号事件”。
黒人奴隷が海に遺棄され、“積み荷”である保険賠償を巡る裁判。
同じ肌の色の者として、ベルはこの事件に心を痛める。
当時イギリスは貿易の中心で、黒人奴隷売買は当たり前。奴隷制度廃止の前の事。
ジョンは黒人奴隷たちの人権を問う。
この裁判の首席裁判官であるマンスフィールド卿。黒人奴隷たちの人権を認める判決を下したら、その地位すら揺らぐ…。
双方にとっても、大きな勝負時。
てっきり、ベルの存在が裁判に何か波紋を広げると思いきや、そうでもないようは、そうでもあるような。
ベル本人が裁判に関わったりする訳ではない。
が、ベルとジョンの人種を超えた関係。
それが、マンスフィールド卿の考えを変えた事は間違いない。
また、この事件と裁判が、奴隷制度廃止に繋がった事も意義深い。
主演ググ・バサ=ローが聡明で魅力的な好演。
社会派ドラマとメロドラマ、どっちに比重を起きたいか、見事に融合したとは言い難いが、日本劇場未公開の佳作。
ポジティブな人種問題もの
母を恥じていた。
自分を恥じていた。
でもこれからは恥じないと言う主人公の言葉。
これに本当に理解を示す日本人は少ない。
社会だって恋愛だって人種問題は避けられない。題名の通り、ある令嬢の恋なんだけど、あるイコール黒人って意味なのね。
まぁまぁ見て良かったです。
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