「西遊記への道」モンキー・マジック 孫悟空誕生 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
西遊記への道
中国では何度も映画化されている『西遊記』。
しかし本作は、三蔵法師や仲間と出会って天竺までの旅ではなく、邦題通りの“エピソード0”。
別の孫悟空はある戦闘民族の息子として生まれ母星消滅の前に地球に送られたのは知っているけど、確かに本家本元の孫悟空はそれほど知ってるようであまりよく知らない。
てっきりオリジナルかと思いきや、原作である伝奇小説をベースにしつつ、所々脚色。
天界、魔界、人間界が争っていたむか~しむかし。
牛魔王が玉帝に敗れ争い終わり、創造の女神・女カが世界を修復中、神聖な石の破片が花果山に落ち、その中から妖猿が生まれる。
正しく導けばこの世の為になると観音菩薩からの命を受けた須菩提祖師は、その猿を弟子にし、孫悟空と名付ける。
変化などの妖術を学ぶも、他の弟子たちとのいざこざが絶えず、師の元を発つ。
海底の竜宮で如意棒など武器を手に入れ、遂には天界にも進出。美猴王や斉天大聖を拝命。
が、仙桃を食い荒らしたり、任命された仕事も投げやり。決して悪い奴ではないが、傍若無人な性格で秩序を乱す。
そんな悟空に、再び天界支配を目論む牛魔王が近付き…。
勿論『西遊記』の話は好きだが、こちらもこちらで面白い。
作風は気軽に楽しめる娯楽冒険ファンタジー・アクション。
CGやアクション満載で、スケールも充分。さすがにエネルギー波は出さないけど、空中バトルは主人公の名前が同じあのアニメのよう。
動物園に通い詰めて猿の仕草を徹底的に研究したという悟空役のドニー・イェンの快演はユーモラス。牛魔王役のアーロン・クォックはシリアスに、玉帝役のチョウ・ユンファはさすが貫禄あり。
CGは拙く、話も演出も演技もチープな面あり、着ぐるみみたいな動物キャラや全体的にコスプレ仮装大賞感、どちらかと言うとお子様向けではあるが、
英雄活劇のワクワク楽しさ。その一方、
利用し、利用され…。己の傲慢や振る舞いが悲劇を招き、自らは罰を受ける。
どの国も、昔話には面白さと教訓あり。
本作は悟空が岩に封じ込められるまで。
その後、定められた運命かのような出会いや冒険が。
西遊記への道。