まず、この『劇場版蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-Cadenza』はTVシリーズ全12話と前作劇場版を視聴していることが前提の物語になっています。特に、TVシリーズで彼らが繰り広げた物語が本作でも核になっているので、TVシリーズを1度とは言わずに何度もみて把握することで、本作を観たときの楽しさ、興奮、感動は非常に大きくなると思います。

さて、肝心の本作についての感想ですが、公開前から"完全新作でフィナーレ"と銘打っていることもあって、非常に完成度が高いです。見所もとても多く、正直言ってどう表現したら良いか解らないのが実際のところです。テーマ、ストーリー、キャラクター、映像、音楽、声優さんの演技など…従来からあった全ての要素が1つになって描いてきた航路が、ここに結実するという感じです。ああ、あの時はじめた旅はここに辿り着くんだなあと。そんな余韻に浸れる作品になっています。

TVシリーズが始まった頃はCGアニメーションということで話題を集めたアルペジオですが、むしろ今は映像がどうということはあまり関係なく(もちろん映像は凄いです！)、本作を含めたシリーズ全体が、純粋に1つの作品として、物語として、見事なものに仕上がっています。
一方で観終わった後、欲を言えばもう少しアニメで描いて欲しいシーンがあるな、という感想もあります。おそらく、本作を観た方ならば誰もがそう思うのではないでしょうか。
しかし、それはきっと本作の物足りなさからというよりかは、むしろ群像やイオナたちがはじめた旅が1つの完結を迎えることの寂しさからくるものが大部分なんじゃないでしょうか。もう少し"蒼き鋼"の航海をみていたい。そう思えるのも、ひとえにこの作品が心から好きであることの証拠だと思います。原作を含めた今後の作品展開が気になるのは、ファンというものの宿命ですね(笑)

蒼き鋼のアルペジオ、少しでも気になった方は是非観てみてください。航路の先にはいったい何があるのか。ひとたびその世界に触れれば、彼ら彼女らとともに ―繋がりを確かめる航海の旅に― きっと、出たくなると思います。

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