ドム・ヘミングウェイのレビュー・感想・評価
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露悪趣味
冒頭から裸のドム・ヘミングウェイ(ジュード・ロウ)が自分のイチモツの自画自賛、その尋常でない熱弁ぶりにかなり面倒な監督だなと直感。いわば、予備テストのようなもので、「ご来場のお上品な皆様、これに耐えられなければこの先は無理でしょう」ということか、強烈なかましである。
案の定、彼の下劣さと暴力性は留まるところを知らず高まるばかり、偽善者は鼻持ちならないが露悪的な人物像も頂けない。
出所したダメ親父が娘に許しを乞う物語にみせかけ移民問題や禁煙法、要領の良いものが生き残る風潮に唾を吐きたかったのだろうか。そういう意味では狡猾な監督だ、乗せられたジュード・ロウも気の毒だが自分のイメージとは真逆なキャラクターなので役者魂に火が付いたのだろう、お尻まで出して怪演でした。
金より愛。ラスト間近の急カーブにびっくり!
ボスの代わりに(見返りのお金の為に)十二年刑務所に入って、出て来たらそのお金を一瞬でなくしてしまう、なんとも哀れなチンピラ・ドム役を、太マッチョでお腹が出たジュート・ロウが演じています。あのジュート・ロウが、凄いことになってます!
やっと出所したら、愛した元妻は別の男と結婚した上に亡くなっていて、娘からは激しく憎まれている。
あ、娘役が、ターミネーターに出てた、エミリア・クラークです。
ボスを売れば2~3年で出所できたのに、お金の為に12年間を無駄にするドム。
終盤で天然なメロディという女性からドムは、「貴方の願いは何?」と聞かれます。
「お金」と即答。
「本当に?」
「いや違う。娘に許されて、受け入れられること」
と涙ぐむドム。その時のメロディがいいんです。
「願いがはっきり分かったってことは、貴方の運はこれから絶対に上向きになる。人は愛を作り出せるのよ」って。
そこからドムは元奧さんのお墓で泣きながら懺悔です。お金の為に、奧さんと娘の大事な子供時代を失った。
ずーっとドムがどれだけ馬鹿でくだらない男か描いておいて、急カーブで目的地に着く感じ。びっくりしました。
金より愛。普遍的なテーマではありますが、この急カーブにやられました。
大逆転なラストは用意されていませんが、そこもいい。
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