「話もステイサムも楽しめない作品。」WILD CARD ワイルドカード Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
話もステイサムも楽しめない作品。
ジェイソン・ステイサム主演。
私も含む或る種の映画好きにとっては無条件で足を運ぶ、正に『最強の「切り札」』。
そんな我々が期待するのは…ステイサム無双。
毎度御馴染みと言われようが、ワンパターンと言われようが。
毎度御馴染みの、ワンパターンを定期的に観たい。
ステイサムは固定で、相手役を変えて、設定を変えて、でもステイサム無双は変えずに。
そこさえクリアしていただければ大満足。
反吐が出る野郎共を鏖にする姿を見て気分爽快で劇場を後にするのですが。。
本作は酷かった。
まず話自体が驚くほどに小規模、薄っぺら、そして雑。
焦点を合すべき、元恋人の復讐支援を適当に切り上げて。
誰が望んでいるのか分からないカジノ場面を延々と取り上げる。
カジノ場面もステイサム演じるニックが何故勝つかを全く描かず。
「運が来てる!肩が重いくらいだ!」という謎の言葉を連呼させ、思わず嘆息。
かと思えば序盤から登場する青年との中途半端な交流を描き。
終盤の出来の悪い御都合主義展開に繋げる。
全体的にバランスが非常に悪く。
大ヒットした一作目の出来の悪い続編……的な印象を受けました。
原作・脚本はアカデミー脚本賞を二度受賞したウィリアム・ゴールドマン。
受賞作品は60-70年代、映画脚本は10年振り位の御年83歳。
原作小説は1986年の「Heat」のようですが。
映画化するにあたり話を現代版に巧くアップデート出来なかったようで。
80年代の設定ままでやるか、別の方に脚本は任せるかした方が作品のためには良かったように思います。
ただ話が雑でもステイサムが活躍してくれれば。
…という願いも空しく。
ステイサムの活躍場面も最小限。
戦闘場面になるとアガるはアガるのですが、如何せん量が少な過ぎる。
加えて主人公が銃を使わない設定も相まって地味。
戦闘場面で場にそぐわない愉快な音楽が流れる点のみ少し新鮮でした。
何より腹立たしいのが。
エンドロール時に流れてきた「コルシカ島 ユニット」の表記。
同じ映像を距離を変えて撮っているだけのフィラー映像に金をかける位なら。
ステイサムの戦闘場面を倍にしてくれ、と思う謎の映像でした。
まさか経費でコルシカ島に遊びに行くためだけの映像では、なんて邪推も。
話もステイサムも楽しめない本作。
上映時間92分と比較的短い部類の作品にも関わらず、序盤から異常に長く感じる作品でした。
一日がアッという間に過ぎることに不満を感じる方であれば。
オススメです。