「男の名匠、ネットワークを始めたら…」ブラックハット 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
男の名匠、ネットワークを始めたら…
中国にサイバー攻撃。メルトダウンこそ免れたものの、原発が狙われ大被害。アメリカ市場にも大損害が。
アメリカと中国の合同捜査チームが発足。中国軍情報部のダーワイはある人物に協力を要請。アメリカ留学中の友人で天才ハッカーのハサウェイ。犯人はかつてハサウェイが開発したプログラムを応用。
カード詐欺で獄中のハサウェイに協力するなら恩赦の条件で釈放。ダーワイの妹でエンジニアのリエン、FBI捜査官のバレットも加わり、世界を股に駆けた敵ハッカー追跡劇が始まる…。
熱い男たちを撮らせたら随一の名匠マイケル・マンによるネットワーク・アクション。
硬派な作風で知られるマンがネットワーク題材とは意外だが、エキゾチックなアジアと最先端のコンピュータを融合させたアクションを撮りたいと思ってたという。リドリー・スコット同様、老いても尚意欲的。
元ハッカーや元サイバー捜査官ら専門家指導の下、リアルさを追及。ただの絵空事ではないネットワーク戦争を演出。
敵襲の銃撃シーンは迫力の音響と臨場感。さすが『ヒート』の監督。
ハッカー役ながらセクシーマッチョなクリス・ヘムズワースや本作でハリウッドデビューのワン・リーホンやタン・ウェイらも熱演。
硬派アクションの巨匠が再び放つ、骨太作!
…どうした、マンよ?
決してつまらなくはない筈なのに、何故か面白さや話も盛り上がらない。
アクションは銃撃シーンは迫力あるが、それ意外は見せ場に乏しい。
ならばスリリングな展開に期待したい所だが、ちと鈍行。何と戦い、敵は誰なのか、今一つ分かり難いのも難点。謎に包まれた巨敵…とはちょっと違う。
敵襲で仲間(ダーワイ含め)がほとんど死亡してしまうのが残念。徐々にチームとしてまとまっていき、『ミッション:インポッシブル』のようなチームプレーも期待出来ただけに…。
生き残ったのはイケメンヒーローと美人ヒロイン。都合のいいナルシスト志向。ロマンス展開も唐突。
敵もハッカー集団と言うよりテロ一味。途中からハッカー対決は何処やら、力押しアクション。
最後もカタルシスに欠けた。と言うより、何だか全体的にパッとしなかった。
こんなマン作品初めてかも…。
マンのネットワーク題材のアクションと聞いた時、
珍しいジャンル!…と思いつつ、
マンがネットワーク?…と違和感も感じたが、
結果、後者の不安要素の方が当たった。
やはりマンには男たちの戦いとロマンと生きざま迸るアクション×ドラマを描いていって欲しいし、見たい。