「96時間シリーズでなくても・・・」96時間 レクイエム えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
96時間シリーズでなくても・・・
『96時間 レクイエム』を鑑賞。
リーアム・ニーソン主演のシリーズ3作目。
制作・脚本もこれまで同様リュック・ベッソン。
1、2作目同様に何より大切な家族(離婚した元妻と実娘)を守る為にはどんな事でもする元CIA工作員である無敵の父親の物語。
前作であれほど苦労して守り、以降関係が深まりつつあった元妻が殺害され、その容疑者として追われる立場になってしまう。
残された娘を守り、真犯人を突き止める事はできるのか。
これまで同様に100分前後のノンストップアクションとなっており、今作でもおなじみの父親の無敵っぷりが光る。
ところが、観終わってみると何か物足りない。
相変わらず突っ込みどころは満載で、自分の家族を守る為には他人の事などお構いなしのご都合主義。
そんな父親の性格になど今更突っ込んでいられないし、シリーズファンであれば気にもならない。
今シリーズ最大の魅力は、元CIA工作員の父親がどんな困難な場面においても冷静に行動し、わずかな情報を元に頭脳とスパイ経験を駆使して切り抜ける爽快感である。
しかし、今作ではそれが明らかに不足しているのだ。
キャラクターもシリーズ共通だし、味付けも従来のそれであるものの、残念ながら普通のアクション映画になってしまっている。
これなら何も96時間シリーズである必要はない。
アクション映画としては決して悪くはないし、シリーズ未観でも問題なく楽しめる造りとなっている事も評価できる。
しかし、実際には観客のほとんどがシリーズファンである事を考えればやはり物足りないと言わざるを得ない。
続編と作る上でマンネリ化せずに魅力を維持し続ける事は本当に難しい。3作目ともなれば尚更である。
それでもシリーズものに頼らざるを得ない今の映画業界は、もしかしたらどんな映画よりも危機的な状況にあるのかも知れない。