「香取慎吾?」すれ違いのダイアリーズ よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
香取慎吾?
小学生と一緒になって鉄棒に興じる青年の、屈託のない目を見て香取慎吾が主演かと思った。このタイの俳優さん、とても雰囲気が似ている。
さて、二人の不遇な教師がタイミングをずらして僻地の水上小学校へ赴任する。この二人が最後に出会うことは誰にでも分かる筋書きなのだが、そこへ至る二人の青年の対比が上手く表現されている。
物語の中心アイテムが日記という文字メディアなので、これを巡る話を映像で表現することは簡単なことではなかっただろう。
しかし、湖上の小学校に馴染むまでの二人の異なるアプローチを絶妙の編集で交互に提示して、前半をまったく飽きさせることなく語りきる。
映画が停滞するのは女性教師がフィアンセに求められて都会の学校へ戻るシークエンスから。
副校長でもある婚約者と教育方針が異なることで二人の間の溝が深まり、彼の不義が発覚することでこの二人の関係は破たんする。
そこでこの件は終了してしまえばいいのだが、この婚約者の未練がしつこい。このしつこさに辟易するのは相手の女性ではなく、むしろ観客のほうであろう。彼が船に乗って水上小学校へ迎えに来たときはあきれてしまった。
これはもう、韓ドラの世界である。TVでの放映時間に合わせて視聴者の気を持たせ、落胆させるあの手法。これを映画でやってしまった。
もしかしたらこの作品は、もともとTVドラマとして製作したものを劇場用に再編集もしくはリメイクしたのかも知れない。いずれにしても、TVの文体と映画の文体には大きな隔たりがあることを思い知らされることとなった。
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