劇場公開日 2014年10月18日

「「あんたバカァ?」で外れるか?」惑星ミズサ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「あんたバカァ?」で外れるか?

2022年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 提灯を作る小さな工場。オープニンだけ見ると一級品の芸術映画の趣さえある。最初に入店したときは雑談しただけで時間が来てしまったが、帰りの最終バスに乗り遅れ、ぼんやり歩いていたら、指名したミズサが自転車で送ってくれると言う。

「君って何者?」
「宇宙人」

 ふわーっとしたエセ関西弁のミズサ。謎めいているが、風俗嬢の過去を問うのも失礼だ。互いに好意は抱くものの、一定の距離感を保っているヨシスケとミズサ。何度かデートもするが、それは「一緒に遊ぼう」というこども感覚のものだった。この距離感こそがダークマターとは言えまいか。目には見えない暗黒物質。理論上存在することはわかるが、直接観測は出来ないモノなのだから。それぞれの人物が惑星だと考えたほうが伝わりやすいかもしれません。

 田舎道にある伝言掲示板が通信手段。それでも確実に相手に届く。そして畦道とプラネタリウムという不釣り合いなデート場所。そして彼女はミステリーサークルを作り、人々を驚かしたりする。一方、ヨシスケは死んだと思わされていた父親にパチンコ屋で遭遇。もうこれは第3次接近遭遇だ。

 元野球部の先輩大野や、幼なじみのヒカリ(入来茉里)の存在もストーリーの中核にあるはずなのにそれほどの変化がなかったり、中盤以降はユルい展開のドラマとなっているのが残念なところ。予算がもっとつけばパニックに陥る人々だって描けるのだろうけど、このユルさが宇宙人ミズサから発せられたものとも言えるのかもしれません。

 この監督の作品をもっと見てみたいのに、これ一本だけなんですね!エロいかと思ったけど、全くだったし、むしろ田舎町によくある閉塞感と田舎を飛び出せない小胆さによってノスタルジーを感じることが出来る。キム役宇野祥平も味があるし、リリー・フランキーも雰囲気よし

kossy