「小林薫がしみじみいい味をかもしだす。」映画 深夜食堂 れいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
小林薫がしみじみいい味をかもしだす。
深夜食堂は深夜ドラマで見て、その独特の世界観にひかれた。マスターの小林薫がしみじみと優しい。多くは語らない。しかし温かい、心に響く、その相手を思いやる言葉かけをぽつりぽつりと語りかける。無駄な言葉が何一つないんだな。
ドラマはいつも豚汁を作るシーンから始まるが僕は豚汁が大好きで人生の最後の食事はこの店の豚汁が食べたいと見るたび思うようになった。
1話.ナポリタン
見ていて気づかなかった。主役となっていた水商売の女が高岡早紀だったんですね、エンドロールではじめて気づいた。高岡早紀は年齢上がってから痩せてきれいになったね。この話はあまりどうという話ではなかったかな。ヤクザの人がたこさんウィンナーを食べてたのが笑えたし美味しそうだった。
2話.とろろごはん
多部未華子が主人公でした。なんか聞いたことあるような訛りだなと思ったら、私と同じ新潟の上越地方、親不知の出身という設定。なじみがあるわけですわ。
無銭飲食して謝りに来た多部未華子を、手を怪我していた小林薫が雇って家にすまわせてあげる話。なんて優しいんだろう。多部未華子の作った卵焼きを見て私も卵焼きが食べたくなり作って食べました。出てくる料理とエピソードなどがうまく絡みあい、なんとも温かい人間ドラマが生まれている。食は生きる事につながるから、大事だし、食をテーマにしたドラマが温かくなるのは必然なのだなあ。
多部未華子が余貴美子の店に雇われるんじゃないかとは想像はついたが、ハッピーエンドで良かった。オダギリジョーも警官として面白いキャラクターとして登場する。他にもたくさんの脇役がすべて、みんな必要不可欠で、人情味溢れ、飾らず、人間臭い、哀愁が漂う。人生のすいもあまいも知り尽くしたもの同士が集まり語り合う。こんな温かい酒場あったらいいのに。
3話.カレーライス
筒井道隆が片思いで、女を追いかけて上京してくる話。震災で妻を無くした時にボランティアとして助けてくれた女に恋してしまう話しだ。女のほうも真面目で彼に真剣に向かいあい、自分の偽善心みたいなものに罪悪感を抱いて思い悩む。
まあ、みんな出てくる人がいい人ばっかりなんである。
あまり大きな波乱の展開など全くなく、終始、淡々とストーリーが進んでいく。
映画になったから、みんな話がつながってましたね。
すごく面白いというわけではないけれど、しみじみとする、自分の人生を振り返り、思い返させてくれる、そんなドラマと人々です。