劇場公開日 2004年5月18日

「【”パゾリーニ監督、こんなヒューマンドラマも製作していたんだ!”売春婦として生きて来た母が、自分の息子だけには真っ当な道を歩ませたいという思いを描いた作品。】」マンマ・ローマ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”パゾリーニ監督、こんなヒューマンドラマも製作していたんだ!”売春婦として生きて来た母が、自分の息子だけには真っ当な道を歩ませたいという思いを描いた作品。】

2023年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー パゾリーニ監督作品は若き頃に澁澤龍彦氏の著作に嵌った際に流れで、遺作になった「ソドムの市」を観たのみである。
  そのあまりに過剰且つ非道且つサディスティックな内容に驚き、パゾリーニ監督はこういう人なんだと勝手に思っていた。
  何しろ、「ソドムの市」製作終了後、パゾリーニ監督は暴行を受け、車に惹かれ轢死するという悲惨な最期を遂げている。犯人は、ソドムの市に出演した青年とされているが、いまだに真相は闇の中である。-

◆感想

・率直に言うと、今作は息子、エットレを想う母、マンマ・ローマの息子にはキチンとした人生を送って欲しいという明るさを纏いながらも只管なる切実さと、その思いに反してぐれて行く息子の姿が描かれており、正統的なヒューマン・ドラマである。

・言うなれば、ままならぬ人生の悲哀を見事に描いた作品だとも言える。
私の勝手なパゾリーニ監督のイメージが瓦解した作品である。

<今作の様な、ヒューマン・ドラマを製作したパゾリーニ監督は何故に晩年、「ソドムの市」を製作したのであろうか・・。
 何故か、この作品を鑑賞して、パゾリーニ監督の善性を感じ、ホッとした気分なのである。
 映画監督とは、何とも業の深い職業であると思った作品でもある。>

NOBU