「異常な怒鳴り合い。」映画 ST赤と白の捜査ファイル 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
異常な怒鳴り合い。
「ST 赤と白の捜査ファイル」見ました。
評価が高めだったので期待していましたが、全然面白くなかったです。なんせ当方、連続ドラマ版を1話しか見ていなかったので、ほとんどキャラクターや、そいつらの繋がりが分からなかったから。でもストーリー自体はなかなか捻られてるし、分からないなりにキャラクターが立っていると感じた。
だがこれは映画にするほどの話かは疑問。SPECとかSやATARUなど、ドラマを映画化するのが流行ってるようだが、スペシャルドラマで十分。今作はユースケサンタマリアをゲストとして招き入れたのは構わないが、彼の脅威が伝わってこない。そればかりか、何がしたいのかが最後まで分からなかった。そして相変わらず藤原竜也がうるさいが、今作はそれ以上に岡田将生がギャーギャーうるさい。見ていて不愉快だし、普通じゃない。変人とか癇癪持ちとかいうレベルではない。他のSTメンバーの個性も完全に消えてる。せっかく特殊なスキルがあるんだからもうちょい見せ場を与るべきなのに、今作では見せ場が単発的且つ一瞬。あれじゃ全くいなくても問題ない。
あとは細かいところの雑な作り。うん、赤木とキャップがホテルの屋上から隣のビルに飛び移る場面。あそこ、部屋からの眺めは超高層の海辺というか川辺だけど、そこから屋上に上がった時の景色が明らかに違う場所。どっかの田舎のデパートの屋上みたいに低いところ。あれで違和感を感じない人はいないと思うが、良しとした製作陣の妥協精神には恐れ入った。あとは1000億円の価値を持つネットウイルスを一個人が作れるのかも分かんないっちゃ分かんないけど、何よりもそのウイルスの具体的な怖さが全くこちらに伝わってない。少しでいいから被害の様子とかを見せないと、話にならないと思う。
それと、所々の人の数が異常。丸腰の安達祐実に大の男が3人も銃を向けていた。最後には、STの4人(こちらも丸腰)に対し30人近くが銃を向けた。あとは、逃げる赤木とキャップに携帯カメラを向ける人が異常に多い。SNSを駆使した捜査は現代風でいいと思うが、道行く人があんな過剰な反応を示すわけがないし。こーゆーのは話の本筋には全く関係ないけど、もうちょい演出を追求した方がいいんじゃないですかね。
雑なところをあげたらキリがないが、良かった所もありました。全体に見られるテロップの演出は、分かりやすいのもあるけど、コミカルな作風に合っていてスマート。って言っても褒められる点はその程度。
セリフは終始の怒鳴り合いと叫び合いと、否定のし合い。
刑事ドラマもネタが尽きた感が否めない。暑苦しいまでの人情を押し通す「はみだし刑事」や「はぐれ刑事」が懐かしい。