「既成事実として語られるのが怖い」ドラキュラZERO うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
既成事実として語られるのが怖い
いわば神話的存在のドラクール伝承を、独自の視点で作り上げた斬新なストーリー。自らが統治する民を守るために、吸血鬼の力を身につけ、その超能力と、わきあがる欲望の葛藤に苦しむ主人公を、雰囲気たっぷりに演じたルーク・エバンスが意外にいい。
でも、もともと民族伝承とはいえ、ある程度は歴史に基づいて語られてきたドラキュラ伝承が、この映画で曲解されて、ヒーロー的立ち位置に置き換わるのが心配といえば心配。
まあ、それほど評価も上がっていないし、興行も成功したとは言えないようなので、その心配も無駄なのかも。
ラストの、現代に生きるドラキュラは全くの蛇足。奇跡の再会を狙ったのだろうが、むしろ作品を殺している。
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