バベルの学校のレビュー・感想・評価
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子供たちは繋がる。
様々な理由でフランスにやってきた移民の子供達と、彼らを
受け容れる適応クラスの一年間を追ったドキュメンタリー。
実に20の国籍を持つ24名の生徒を一手に引き受けているのが、
このクラスの担任であるブリジット・セルヴォニ先生なのだが
その忍耐力・説得力・包容力・信頼性、全てにおいて超魅力的。
しかし敢えてこの先生でなく生徒にスポットを当てることで
それぞれの個性を際立たせることに成功している。
言語問題だけでも大変なのに、思春期の子供達が相手、更に
バックグラウンドには紛争や宗教対立を抱えた子供達も多く、
価値観だけでもかなりの違いがある。一触即発ムードで絡む
攻撃性の強い子もいるのだが、先生はクラスに馴染めるよう
何度も面談を繰り返し説得を続ける。そして子供たちは言語
の違いを超えてどんどん繋がりを深めていく。とにかく子供
自身が自分の言葉で主義主張を見事に繰り広げる。日本なら
親や教師が横槍を入れ窘めるような場面でも、ここでは誰も
その主張を止めない。反論を繰り広げる子供の言い分もそれは
見事で、どこぞのヤジを飛ばす下らない会議中継よりもかなり
見応えがある。思想の違いは相容れないが、人間同士貶め合う
醜い争いの根は大人が植え付けたものだとハッキリ見えてくる。
辛い生活から逃れてきた子供も、裕福な家庭で留学する子供も
何の差別も偏見もなくお互いを認め合える同級生になれるのが
本来のクラスの在り方で、この年度を最後に担任を終えると
いう先生の最後の挨拶とお礼に私までボロボロ泣けてしまった。
(どの子も純真。子供は子供らしく成長させてあげたいよねぇ)
ドキュメンタリー
ドキュメンタリー映画をあまり観たことがなかったけれど映画として楽しめたかと考えると星2つになった。いえば学校の日常風景を淡々と映しているものでストーリー性もあまりない。その反面か、音楽が目立っていて映像としてはそれがよい効果をもたらしているように感じた。
しかし11歳くらいの子供たちが置かれている環境や背景にある事情が本当に様々で深い。授業で話している内容やみんなの考え方というか、そういうことに対してそれだけ自分で考えてはっきりとした自分の意見や疑問を持っているということに驚いた。それは私が日本人だからなのかもしれない。もちろん同じ国でも人によって性格も考え方も違うのだけれど、この場に日本人の11歳の子がいたらどういう意見になるのだろう、どう立ち振る舞うのだろうと想像してしまうくらい様々な国の子たちが国の違い、宗教の違い、考え方の違いと向き合っている姿が印象強かった。子供に限らず外国の方の年齢は見た目からはなかなか判断しにくいけれどこの映画に出てくる生徒たちも一見高校生かなと思うくらい顔立ちも話すこともしっかりしていた。途中で11歳とはっきりわかったときには少し驚いた。
中盤から後半にかけて短編映画を出品して賞をもらうというシーンがあった。私的にはその大会?に出ることになった経緯や意気込み、映像をつくる過程をもっと掘り下げて見せてほしかった。
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