「マネシカケスが再び鳴く日まで」ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
マネシカケスが再び鳴く日まで
大ヒットシリーズ完結編。
「バトル・ロワイヤル」に酷似と言われた若者たちの殺し合いゲームは最初だけ、「2」の終盤から壮大な革命の物語へ。
それが良かった。
見世物アクションじゃなく、意味を持った骨太ドラマとなり、中弛みする事なく見続ける事が出来た。
最終章は前編後編に分けられ、物語は前作から直結。
独裁国家パネムの崩壊と独裁者スノー暗殺の為、仲間と共にキャピトルに潜入したカットニスの最後の戦い。
完結編の前菜故控え目だった前編と比べると、アクションの見せ場は増えた。
キャピトルは罠だらけ。
あちこちの仕掛け、濁流のような黒い粘液、地下に潜む不気味なクリーチャー…。
監視カメラに治安維持部隊。
“ハンガー・ゲーム”ではないが、“ハンガー・ゲーム”を上回る危険とスリル。
メインストーリーと並行して見る者をやきもきさせてきたのは、カットニス、ピータ、ゲイルの三角関係。
前作で洗脳されたピータの記憶は戻るのか。
陰から支えてきたゲイルの想いは通じるのか。
そして、カットニスはどちらを選ぶのか。
こちらの“戦い”にも決着がつく。
やはり気になるのは、どう決着を迎えるのか。
カットニスの弓矢が独裁者の心臓を射抜くヒロイックな結末になるのかと思いきや、意外な展開に!
これには最初は意表を突かれたが、悪くない。
自分の知らぬ所で思惑が進められ、事が動く。
革命や戦争なんて、結局そんなもんなんだろう。
そして、独裁国家が崩壊したその後は…?
“あの人”は前作からうっすら危険な匂いを漂わせてたし。
この決着のつけ方には納得した。
多大な犠牲を払って、やっと訪れるかもしれない真の平和。
が、残ったのは、悲しみという空虚だけ。
ずっと悪政に縛られて生きてきた者にとって、自由とはどう生きていいか不安で堪らない。
破壊された故郷には、少しずつ緑が戻りつつある。
傍には、彼女が選んだ相手もいる。
若者たちは、手探り状態で平穏を見つけ出す。
マネシカケスが再び鳴く日まで。
ジェニファー・ローレンスの魅力をたっぷり堪能。
エンタメ映画とは思えないくらいの実力派たちの豪華共演。
当初はディスられたりしたもののユニークな設定、世界観、スリルにアクション。
骨太なドラマに繊細なロマンス。
結局日本では人気が出ないままだったが、個人的には楽しませて貰った堂々たるシリーズであった。