「歌え!ロックンロール・ブラザーズ」日々ロック 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
歌え!ロックンロール・ブラザーズ
メジャーシーンでも活躍するようになった入江悠監督が、同名コミックを基に、初期の『SR/サイタマノラッパー』を彷彿させる音楽×青春ムービー。
でも決定的に違うのは、最初の数分見ただけで分かる、漫画的超ハイテンション・コメディ。
ロック以外の事は何をやってもダメダメ。でも、ロック愛だけは人一倍の日々沼。
高校時代に出会った似た者同士の友人二人とロックバンド“ロックンロール・ブラザーズ”を組み、上京してライヴハウスで活動始めるのだが…、
はっきり言って、歌詞も歌唱力もロック自体も何もかも三流。
夢見たロックの世界とは程遠く、ライヴハウスで住み込みで働く日々…。
そんな彼らだが、突然秀でる時も。
まず、序盤。上京前、路上ライヴをしている時、いじめっこに邪魔される中、血だらけになりながらも熱唱。
そして、上京してから。ライヴハウスの密かに想いを寄せる女の子を賭けて、人気イケメンバンドとロック対決。何と、勝利!
逆境に立たされると、底力を発揮する。
思わぬ人物が彼らの歌を気に入る。
ある日突然ライヴハウスに乱入し、マイクやギターを奪って大暴れしながらも、圧巻のパフォーマンスを披露した一人の女性。
時のトップアイドル、咲。
彼女の薦めで有名音楽プロデューサーに歌を聞いて貰うも、辛辣な評価。
「あなたたちは何の為に歌ってるの?」
何も言えずじまいの日々沼。
自信を喪失し、各々故郷に帰る。
名残惜しさと共に慣れない仕事をしていたら、ある日咲に関した驚きの報せを聞く…。
終始ハイテンションの作風、登場人物たち。
中でも、主人公の日々沼。
熱唱すると、何故か全裸に。
あるシーンでは、片手に魚、もう片手にはある紙を持って全力疾走。
熱演と言うより、怪演の変人丸出し。
野村周平を見てるだけで面白い。
見事なギターや歌も披露。
周りも強烈個性。
そして言うまでもなく、二階堂ふみ。
突然ライヴハウスに乱入し、男たち相手に大立ち回りするこれまた強烈キャラで魅せる一方、
一人Perfumeのようなコスチュームやライヴを披露。歌も上手い。
そんな彼女には、ある秘密が…。
それは序盤のあるシーンですぐ察しが付く。よくあるパターンちゃあよくあるパターン。
最後に、心から震える歌を聞きたい。
そんな時出会った、三流ロックバンド。
しかし彼らの中には、光るものが眠っている。
突然の雷雨に見舞われるも、
歌え!ロックンロール・ブラザーズ! 咲の為に。
これまでで最高のロックを!
コミック実写化故、辛口意見も多いようだが、原作未読者からすればそう悪くない。
ラストシーンの彼らもまた愛おしい。