「少女と女の間の、特別な季節」17歳 tamaki2001さんの映画レビュー(感想・評価)
少女と女の間の、特別な季節
女は永遠にも思える少女期を過ごすと、17歳という以外に名付けようのない特別な季節を駆け抜け、そしてある朝、女となった自分に出会う。
この作品は、少女でもなく大人の女でもない、17歳のイザベルの物語。
彼女の肉体はすでに成熟しているが、その心は体をどう扱っていいかわからない。膨らんだ胸をどう隠せばいいのかわからない。唯一彼女を少女時代に結びつけていたヴァージニティを夏の避暑地にそそくさと捨てると、彼女は新しく手に入れた体の性能を試すかのように、夕方のホテルで男たちに抱かれる。
全編を通して彼女の行為は論理的にはまったくでたらめだが、情緒的には完全に合理的だ。17歳という季節には、そういうことが起こるのだ。
ほんのワンシーンだが、精神科医とイザベル、その母のやりとりが個人的に興味深かった。
イザベルが稼いだ金を取り上げた母親は、それを慈善団体に寄付でもしてしおうと言い出す。そうすることで汚らわしさを洗浄できるとでも言うように。もちろんイザベルは反発する――というのは実は前フリ。
その後、イザベルと母親が精神科医と面談した際、一回のカウンセリング料が70ユーロであることが明かされ、医師は「イザベルの稼いだお金から払えますね」と静かに言う。医師はここで、善も悪も倫理も持ち出さず、ただそっと、彼女の人格を認めるのだ。
あのひと言は、その後長いこと、イザベルを支えたはずだ。
17歳の味方は多くないが、いないわけではない。
そのことを、雄弁にではなく、本筋から外れたワンエピソードとしてなにげなく挿入したところに、監督の優れた洞察力を感じた。
17歳だったことのあるすべての女性と、17歳の娘に振り回されてひどい目に遭ったことのあるすべての男性におすすめ。