「誰しもが経験する、あの切ない時…」17歳 r0sa3105さんの映画レビュー(感想・評価)
誰しもが経験する、あの切ない時…
フランソワ・オゾンの作品は、どれも微妙な余韻が感じられる。そして、それがとても心地いい。
今作も同様。どこか冷たさを秘めた美しい主人公の女性、観る者の想像を掻き立てるラストシーン。露骨で詩的なセリフも、最初は違和感を覚えるが段々と癖になる。
"Jeune=若さ"と"Jolie=可愛さ"
誰もが体験した青春のあの頃。大人ではないのに子供でもない。苦く思い悩む複雑な時期。それは人生で一度きり、一瞬に過ぎ去る時間でもある。
『甘くもあり、脆くもある、若さ…』
『無邪気で、愛おしい、可愛さ…』
自分のもつ"若さ"と"可愛さ"に翻弄され、そして酔いしれる。主人公が経験する刺激的な行為は、まさにJeune&Jolieが原動力である。
ただ、ここでの"若さ"と"可愛さ"はイコールではなく、可愛さはあくまでも若さのシニフィエ、つまり二次的表現であると思う。
この作品で一番感じられたのは、若さそのものであったからだ。それに、ここで意味する可愛さとは、外的特徴に対する表現ではなく、言動・行動に対する表現としての可愛さに重点が置かれていると思う。
主人公の言動や行動は、大人からしてみれば、自由勝手であり得ないかもしれない。
しかし、同時に、儚さや愛おしさを感じるのは何故だろうか。それはきっと、自分も同じ経験をしたからである。
今作を観て、まさしくあなたは"若さ"と"可愛さ"を感じるはず、である。
そして、そんな懐かしくも複雑なときを、眈々と且つ、大胆に表現するフランソワ・オゾンにも、私は"若さ"と"可愛さ"を感じられずにはいられない。
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